絶対大丈夫

 熱戦が続いているプロ野球日本シリーズ。セ・リーグの覇者、東京ヤクルト側の応援席で目を引くのは「絶対大丈夫」の5文字が大きく書かれたタオルや手製のプラカードだ▲ペナントレース終盤の9月、試合前のミーティングで高津臣吾監督が失速気味のチームをこう鼓舞した。足元を見つめて、積み重ねを信じて、仲間を信じて。「絶対大丈夫。絶対行けるから。絶対大丈夫、僕らは崩れない」▲「だいじょうぶです」という言葉が〈相手の勧誘に対する遠回しな拒絶〉の意味を込めて使われることがある。それとは違う。〈心配はいらない〉〈好結果が待っている〉と請けあう直球の「大丈夫」だ▲これから試合に向かう身でもないのに、無条件に背中を押す言葉の熱さが胸に迫る。ウイルス感染の不安に覆われ、日常の回復を待ち望む沈んだ日々。誰もがこんな言葉を待っているのかもしれない…と考えるのはこじつけが過ぎるだろうか▲関連グッズがすかさず商品化されたのはなかなかの商魂と言うほかないが、受験や就活のお守りにもなりそうだ。絶対大丈夫▲隣の席の同僚J君は「酒井圭一投手の入団がきっかけで」という年季の入った一途なスワローズ党。どうしてこの言葉が「流行語大賞」の候補に入っていないのか、と真顔で首をかしげている。(智)

© 株式会社長崎新聞社