妖怪ケンムン実在したのか!〝東スポ探検隊〟徳之島へ急行!!

神秘的なたたずまいを見せる徳之島のウスクガジュマルは樹齢300年(東スポWeb)

これがケンムンか!? 今年7月末に「奄美大島・徳之島・沖縄島北部及び西表島」が世界遺産登録され、同地に伝わる妖怪「ケンムン」も同じくクローズアップされる中で、徳之島では「ケンムンの仕業としか思えない」という怪現象が勃発していた。本紙が現地徹底取材を行い、新情報が続々と判明。さらには“未知の生物”にも遭遇した。真っ暗闇の草むらに映るものとは…。

ケンムンは、江戸時代の文献にも名前が残るほど歴史は古い。これまで本紙がつかんでいた情報では「ケンムンはカッパに近い姿」「ガジュマルという木を棲み処(すみか)にしている」「人と相撲が取るのが好き」というものだったが、徳之島では1960年代ごろまで目撃されていて「見ると気絶させられる」と、簡単に遭遇してはいけない存在であることも判明している。

世界遺産登録に沸くさなか、徳之島の南部に位置する伊仙町では、ある時期に猫が傷つけられた姿で発見される事件が頻発した。それが「ケンムンの仕業じゃないか?」とうわさになったというのだ。

ここ最近は目撃情報のないケンムンだが「世界遺産登録で注目され、今はあえて人目につこうとしているのか?」という島民の声を聞きつけ、本紙は現地住民の協力を得て、今月、現地取材を行った。

驚きだったのは島民たちにケンムンの話を聞くと、高齢者から若者まで「ああ、ケンムンは…」と何かしらのエピソードが出てくることだった。
「ケンムンは魚の目玉が好物。魚を持っているとケンムンに化かされて魚を取られる」(ある老人)、「気をつけておかないとカタツムリやナメクジを食べさせられる」(30代女性)など、かなりの“いたずら好き”な感じだ。

さらに伊仙町・面縄(おもなわ)に残る“ケンムンの伝説”をキャッチした。

「私のおばあちゃんが話していたんですが、ケンムンは真っ赤な髪をした子供のような存在で、足のすねが長く、そのすねで自分の頭を挟んで寝る。寝床もウスクガジュマル(アコウ)という枝から地面に向かって垂れ下がる木を好む。ヨダレがたいまつのような明るさで『ケンムンの火』と呼ばれているそうです」(現地住民)
また、ケンムンは人をだますことでも知られているが、だまされた時には「ふんどしを頭にかぶると正気に戻る」という対処法まであったそうだ。

情報収集後、ケンムンの姿を撮影するため、日が落ちた山の中を探索した。11月で気温が低下しているので、猛毒を持つハブに遭遇する可能性は低いが、都会と違い、夜になるとまったく明かりがなく、本能的に危機を感じさせる。

現地住民の案内で、ある山中に到着すると「いた!いた!いた!」との声が! 確かに何かが動いている、慌ててカメラを向けるとそれは――絶滅危惧種のアマミノクロウサギだった。世界でも徳之島と奄美大島にしか存在しない種で、ケンムンとは違って非常に愛くるしかった。
今回は残念ながら、ケンムンの姿をとらえることはできなかったが、その後、現地で高齢女性が行方不明になる事件が起き、これも「ケンムンの仕業か?」と話題になっているという。

やはりケンムンは「そこにいるとしか言えない」。そんな存在なのだろうか?

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