小学生に情報の取捨選択は必要ない? DeNA今永昇太が説く“失敗のススメ”

野球教室に参加したDeNA・今永昇太【写真:球団提供】

制球について具体的に指導「教えることは自分のスキルアップにもなる」

情報過多の現代社会。野球に関しても、様々な知識がネットを通じて簡単に手に入る。練習に励む少年少女は何を信じ、何を習得すればいいのか。DeNAのエース左腕・今永昇太投手は「小学生で身につけられる技術には限界がある」と話す。

11月28日に横浜スタジアムで開催された野球教室「キッズベースボールフェスティバル2021」。神奈川県内の小学6年生が集まり、グラウンドでバッティング練習をしたり、プロ野球選手の技術を間近で見学して楽しんだ。選手たちは直接指導をする機会はなかったものの、言葉で考え方や思いを伝えた。

今永が強調したのは、制球についての意識。実際に投球練習を披露した後、手先だけの技術ではないことや、足を踏み込んだ際のバランスなど、身振り手振りで具体的に説明。指導を聞いていた少年のひとりは「分かりやすかった。帰ってやってみたいです」と、やる気になっていた。今永は「教えることで自分のスキルアップにもなると思うので、なるべく具体的に教えたいなと思いました」と振り返った。

「小学生の時は何かを良い方向に選択することはできない」

情報を取捨選択する重要性は、今永自身も理解する。一方で、小学生世代は取捨選択に囚われすぎないことが大切だと訴える。

「小学生の時は(常に)何かをいい方に選択することはできないと思います」

少年時代はそもそも、情報を選び取る判断材料となるための根拠や経験が少ない。「まずはやりたいことをやりたいようにやってみる」が最優先。さらに、失敗した時の“パターン”も増やすこと。「たくさん失敗して『これじゃダメなんだ』というのを覚えてもらうことが大事です」と説く。

自身も地道な努力の積み重ね、たどり着いたプロの世界。小学生時代は回り道をすることが一番の近道かもしれない。エース左腕から子どもたちへ、“やってみる”きっかけが詰まった時間だった。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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