いじめや虐待、理解を 当事者ら語る 「しんかみごとう子どもサミット」

不登校の体験などを語るパネリスト=新上五島町

 長崎県五島市のNPO法人「フリースペースつくしんぼ」(草野久幸代表)は、新上五島町で「しんかみごとう子どもサミット2021」を開いた。10代、20代、30代の3人がいじめやからかい、虐待などから心身の苦痛を味わい、不登校とひきこもりをした経験を明かし「同じ立場を共有できる仲間が気軽に行ける場所があれば、話すだけでもすっきりする」「人生の先輩に相談できる場所がほしい」と話した。
 不登校やひきこもりに悩む子どもたちや親の話を通して、置かれている現状や生きづらさを知り、考える取り組み。同町有川郷の鯨賓館ホールで11月21日あり、116人が参加した。
 パネルディスカッションに不登校経験者の花浦紀章さん(30代)、碧(あおい)さん(10代)、怜(れい)さん(20代)と、不登校の子どもの親、永田いずみさん、辻千穂子さんが登壇した。
 花浦さんは小学4年時に不登校と登校を繰り返すようになり、興味を抱いたギターをきっかけに25歳で社会に復帰した。碧さんは中学1年の夏に疎外感を感じ始め、周囲にも理解されず、学校に行くのが怖くなったと振り返った。何とか高校まで進学したが1年の9月末に中退した。怜さんは小学2年の時に教師から虐待を受け、人と学校に不信感を持つようになったと明かした。不満が募り、高校1年のときに3階の教室から飛び降りようとして制止された経験も打ち明けた。
 永田さんは「子どもが苦しんでいる姿を見る親も苦しい。子どもと一緒に少しずつ安心して過ごせる場所、人を増やしていった。寄り添うことが大事。本人は頑張っているんだから『頑張って』ではなく、『頑張ってるね』と声掛けしてほしい」と訴えた。


© 株式会社長崎新聞社