元ロッテ・渡辺俊介監督が敗戦に感じた光 かずさマジックが都市対抗で示した意地

日本製鉄かずさマジック・渡辺俊介監督【写真:川村虎大】

5回に4投手を投入も5点を失ったかずさマジック

悔しい敗戦となったが、確かな手応えも感じていた。3日に東京ドームで行われた「第92回都市対抗野球大会」の2回戦。日本製鉄かずさマジックはセガサミーに0-8で完封負け。ロッテなどで活躍した渡辺俊介監督は、この悔しさを来年に生かすことを誓った。

流れを引き寄せられなかった。0-1で迎えた5回に先発・中本光紀が2点目を失い、なおも2死一塁になったところで、元広島の仲尾次オスカルに交代。オスカルがセガサミーの3番・土谷恵介に四球を出したところで、さらに3番手・山本晃希を投入。その山本も1死も取れずにノックアウトされた。4番手・松尾雄亮がこの回を締めた時には5点を失っていた。

「もう少し投手の投げやすいところで交代させてあげればよかった」と反省を口にした指揮官。打線もセガサミーの先発・草海光貴に7回5安打無失点に抑えられた。

その一方で、表情は意外にもスッキリしているように見えた。結果は伴わなかったが、確かな手応えを感じていたからだ。昨年から監督に就任し、初年度は南関東2次予選で敗退。2年目の今年も、新型コロナウイルスの感染者がチーム内に出て、日本選手権の予選を辞退せざるを得なかった。

都市対抗予選も、南関東1回戦でJFE東日本に3-7で敗れてからのスタートだった。ただ、渡辺監督が「その試合の後から、意地がプレーに出ていた」と話すように、敗者復活から勝ち上がり、代表決定戦でJFE東日本にリベンジを果たして全国切符を手に入れた。

本戦でも、その意地は見せた。この日は完封負けだったが、1番・内山翔太は2安打と気を吐き、5番手で登板した橘朋晃も8回、9回を無失点に抑えた。「ひとつひとつ『こうやって勝つんだ』というのは見えてきた。個々の力はついてきている」と成長を実感している。悔しさも手応えも感じた全国の舞台。「この思いをバネにしてまた頑張りたい」と来年を見据えた渡辺監督の挑戦はまだ始まったばかりだ。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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