<コリア・ニュース・コラム>朝鮮では地味な地震研究 動物園に一角にある「監視所」の思い出

平壌中央動物園にはショーを楽しめる動物曲芸場やトラ、ゾウ、サルなど人気者たちを見られる華やかな施設がある一方、片隅にはナマズやオウム、ネズミなどが集まった地味な舎屋がある。

このエリアは「地震監視所」の役割を担っており、環境の変化に敏感だとされる動物たちを飼育している。いつになく大きな鳴き声をあげたり暴れたりする異常行動があった場合、国家の該当機関に即時通報するシステムが取られている。

しかしながら異常行動が報告されたのは、比較的大きな地震があったとされる1976年くらいだと動物園関係者は教えてくれた。

それくらい地震が珍しい朝鮮で地震学は花形の学問とは言えない。

平壌の超高層住宅街(C)朝鮮新報

金策工業綜合大学電子工学部を卒業したユ・ジョンナムさん(50、現在同研究所観測器具研究室室長)は20余年前に地震研究所に配置された。まっさきに質問したのが「朝鮮でも地震が起きるのですか」というくらい畑違いの職場だった。

それでも人々の生命財産を守るという使命感から、全国に現代的地震観測網を築くため研究を重ねた。観測機製作のため専攻分野でない機械工学、物理学の研究機関を行き来し、研究で夜を明かす暮らしを続けた。製作に成功した後も、これを設置するため全国に出張する毎日だったという。

最近「中央社会主義愛国功労者」となったユさんの功績を国内メディアが紹介。地味だった研究分野が脚光を浴びている。

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