韓国の「特許王」が米企業に特許訴訟で勝利も、韓国政府から「背中を撃たれ」ていた? 「二度と無いことを...」

特許紛争に滅法強い企業として知られる韓国のソウル半導体がまた勝訴したことが分かった。LED専門企業として日本とも取引のある同社だが、世界各地で勝利を収めている。

参考記事:韓国紙「サムスンが特許侵害で訴えらる国際訴訟数、圧倒的に多い」「狙い撃ち…販売禁止事例も」

ソウル半導体はLED技術で約1万4千件の特許を持ち、2018年から3年間、6カ国で39の訴訟で勝訴し、輸入禁止や製品回収命令を引き出している。イ・ジョンフン同社代表は中小企業が大企業に対抗する上で特許取得は数少ない武器であり、それを侵害する大企業は絶対に許さないという立場を再三表明している。韓国メディアをして彼を「特許王」と呼ぶほど名も売れた。しかし、今回の相手は大企業ではなかった。さらに「身内から背中を撃たれる」という特殊事情も重なった。

韓国メディアなどによると、ソウル半導体は7日、米国のパテントトロール(特許怪物)であるドキュメントセキュリティシステムズ(Document Security Systems以下「DSS」)との4年間の特許訴訟で完全に勝訴して訴訟を終結させたと明らかにした。

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DSSはソウル半導体を相手に2017年と2019年に2度にわたりロイヤリティを要求し、特許4件の侵害を主張して特許訴訟を米国連邦裁判所で起こした。パテントトロールとは大企業などから特許技術を買い集め、それを基に他企業の特許侵害を訴えて損害賠償金を取ることに特化した知的財産企業を指す。サムスンやLGなども多くの「被害」にあってりう。しかしソウル半導体は妥協なしにこれら4つの特許紛争すべてで勝訴した。

しかし今回の訴訟の背景には、韓国政府も絡んだ少々複雑な背景があるようだ。ソウル半導体によれば、IP投資会社である「インテレクチュアルディスカバリー」(以下ID)は、1000億ウォン(約96億円)を超える金額で韓国企業を保護するという趣旨で設立され、LED関連特許を収集してきが、DSSに特許を一部売却した。取得した特許を基にDSSはソウル半導体を訴えたという。これが事実なら、間接的とはいえ「身内から背中を撃たれた」ことになる。

ちなみに米国連邦裁判所は、株主及び監督機関の適法な承認を得て、適法な手続により特許を売却したか否かを把握するために韓国裁判所にIDに関する証拠調査を行うよう公式に要請し、またソウル半導体はIDが政府支援金などを適切に使用したかを監督する機関である韓国産業技術振興院にも関連資料の情報公開請求を提起したという。しかし、こうした情報公開は全て拒否されたという。

ソウル半導体関係者は「国民が国民に1,000億ウォンを超える税金がどう使われたかのかを知ろうとしても知ることができない現実と、(国民の)税金が韓国企業への訴訟に使われることが二度と無いことを願う」と伝えた。

参考記事:韓国紙「韓国知財企業が日本のUQコミュニケーションを特許侵害で訴訟」「ワイマックス技術など4件」

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