銃後の暮らし知る 平和のための戦争展開く 上越市 パネル展示や経験談で 

 じょうえつ平和のための戦争展が5日、上越市土橋の市民プラザで開かれた。今年は「二度と繰り返さない!『銃後』の暮らし」をテーマに、統制と節約を強いられた戦時下の人々の暮らしを伝えるパネル展示の他、講演、トークセッションが行われ、約60人の来場者が耳を傾けた。

統制と節約を強いられた戦時下の市民の暮らしを伝えるパネル展示

 会場には、板倉区の浄光寺住職、平田真義さんが所蔵する戦時下の暮らしを伝える資料の数々を展示。節電や節約を呼び掛けるポスターやチラシ、当時の貯金通帳や債券、配給券、戦時中に使われていた弁当箱や湯たんぽ、国民服などが並べられ、訪れた人はじっくりと見入っていた。

 見学していた上越市大和5の阿部和子さん(82)は「近代史を学ぶ機会はこれまであまりなかった。資料を通し、平和のありがたさを再認識した」と話した。

 トークセッションでは市内在住の80代と90代の市民3人が、今も記憶に残る戦時下の暮らしや当時の思いを語った。89歳の女性は「唯一の情報源であるラジオから一日中、戦果報告や軍歌が流れていた」「戦争に勝つことにまい進し、人々はよくまとまっていた。軍国思想が徹底されていた」と振り返った。

戦時下の暮らしを振り返り、平和のありがたさを語る登壇者

 また長年にわたり日本近現代史講座を主宰する大金辰三さんが、昭和6(1931)年の満州事変に始まり、同20(1945)年の敗戦へと至る「15年戦争」をテーマに講演。当時の世相について解説した。

 昭和16(1941)年の太平洋戦争の開戦から今月8日で80年。実行委員会の片岡豊さんは「戦争を知らないわれわれの世代が、いかに次の世代に戦争の無意味さを伝えられるか。今回の企画が恒久平和を実現するための気付きとなれば」と願った。

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