ワクチン3回目接種 長崎県内医療機関でも 政府方針に自治体困惑

3回目のワクチン接種を受ける福島院長=諫早市、日赤長崎原爆諫早病院

 全国で1日から順次始まった新型コロナウイルスワクチンの3回目接種が長崎県内の医療機関でも少しずつ進んでいる。原則2回目から8カ月以上経過した人が対象。政府は自治体の能力次第で接種間隔の前倒しを認める方針を示しているが、市町からは「供給時期と量が分からないと体制を整えるのは難しい」との声もある。
 諫早市多良見町の日赤長崎原爆諫早病院は8日、3回目接種を開始。福島喜代康院長らスタッフ6人が済ませた。同病院によると、8カ月が経過していても居住地によっては接種券が届いていないため少人数で始めた。今月中旬以降は1日数十人規模で進める見込み。
 福島院長は「(高い方が感染を防ぐ作用が強いとされる)抗体価は半年くらいで相当減る。第6波やオミクロン株の広がりに備える意味でもできるだけ早くスタッフ、そして後期高齢者の3回目を終わらせたい」と話した。
 接種間隔については政府の方針が二転三転し、市町からは困惑の声も。長崎市の担当者はオミクロン株への対応を念頭に「国の考え方は分かる」としながらも、「対象者とワクチンの供給時期・量を早く示してほしい。接種を担う医療関係者は多忙。1カ月くらい前には協力を要請する必要がある」と訴えた。
 政府は前倒しする際のワクチンとして米モデルナ製を想定。2回目までと異なるワクチンを打つ「交差接種」は可能だが、佐世保市の担当者は「ファイザー製を接種した人がどの程度、モデルナ製を希望するのか予想できない。取り扱い方法も違うので会場を別にする必要も出てくる」と対応の難しさを口にする。


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