「毎年言われてきたので」 西武の先発3本柱に芽生えた自覚と即戦力左腕への期待

西武・今井達也、高橋光成、松本航(左から)【写真:荒川祐史】

隅田、佐藤はそろってキャンプ1軍スタートへ

1979年以来42年ぶりの最下位に沈んだ西武が、長年の“課題”を克服する。ドラフト1位ルーキーの隅田知一郎投手(西日本工大)と2位の佐藤隼輔投手(筑波大)はいずれもMAX150キロ超の即戦力左腕で、そろってキャンプA班(1軍)スタートの方針。既存戦力の中からも、20代中盤の高橋光成投手、松本航投手、今井達也投手に“先発3本柱”の自覚が芽生えている。

10日に都内のホテルで行われた西武の「2021ドラフト新入団選手記者発表会」。隅田の背番号は「16」、佐藤は「19」に決まり、期待の大きさをうかがわせた。辻発彦監督は来年の春季キャンプで、3位の古賀悠斗捕手(中大)を含め新人3人をA班(1軍)スタートさせる方針を明言。「隅田君と佐藤君は、普通に投げれば1軍レベルでいける。2人には大きな投手になってほしい」と期待を寄せた。

西武のチーム防御率は今季まで4年連続のリーグワースト(今季は3.94)。特に先発左腕不足が深刻だ。今季143試合中、左腕が先発したのはわずか18試合で12球団最少。その成績も2勝8敗、防御率6.28と苦しんだ。優勝したオリックスが宮城、田嶋、山崎福の強力先発左腕をそろえ、68試合28勝22敗、防御率3.19をマークしたのとは対照的。そんな中、ドラフトで隅田を4球団競合の末に引き当て、2位でも佐藤を指名できたのは光明だ。

チーム防御率4年連続リーグワーストの屈辱「そろそろ自分たちもしんどい」

既存戦力勢も黙ってはいられない。高橋、松本、今井は今季から「この3人で投手陣を引っ張っていかなくては」と話し合うことが増えたという。実際、今季の勝ち星も高橋の11勝(9敗)を筆頭に、松本が10勝(8敗)、今井が8勝(8敗)でチーム内では突出している。

1996年11月生まれの松本と97年2月生まれの高橋は同学年、98年5月生まれの今井はその2歳下で年齢も近い。3人ともドラフト1位入団である。来季から選手会長も務める高橋は「西武は先発投手が……と毎年言われてきて、そろそろ自分たちもしんどくなってきた。3人で引っ張って変えていきたい」と語気を強める。周囲の球団スタッフからは「3人で45勝しろ」と高いハードルを課せられていると言う。

レギュラー捕手の森友哉も「今季は四球が多く(12球団最多の597)、失点につながることが多かった。勝負しての四球はしようがないが、無駄な四死球をバッテリーで減らしていきたい」と反省。指導体制も、西口文也投手コーチが2軍監督に転身し、1軍では豊田清コーチ(今季はブルペン担当)と青木勇人コーチ(今季は3軍投手コーチ)がコンビを組むことになった。

バッテリー、チームぐるみの投手力強化策が来季へ向けて進められていく。42年ぶりの屈辱を味わった獅子にとって、巻き返しのキーポイントになることは間違いない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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