ストーカー被害236件 最多ペース 長崎県内1~9月

 長崎県警が今年1~9月に受理したストーカー被害の認知件数は236件。ストーカー規制法が施行された2000年以降で最も多かった14年(286件)の同じ時期を14件上回るペースで推移している。
 県警人身安全対策課によると、236件のうち被害者と加害者の関係は「交際相手・元交際相手」が全体の約38%で最も多く、「知人・友人」が約22%で続く。被害者は約88%が女性。摘発はストーカー規制法違反のほか、脅迫や住居侵入など計42件(前年同期比18件増)。
 同課は件数増加の背景について「マッチングアプリやオンラインゲームなどを通じて知り合い、一度は交際したものの、別れ話となりトラブルに発展するという傾向にある」と分析する。
 全国の警察では16年度、再発の恐れがある加害者に医療機関での治療を働き掛ける取り組みを開始。本人の同意を得た上で精神科医やカウンセラーに経緯や状況を説明し、医師らが診察が必要と判断すれば治療やカウンセリングにつなげている。
 全国で昨1年間に治療を働き掛けたケースは882人。実際に受診したのは124人で全体の14%程度。県内では昨1年間は実績がなかったが、今年は9月末までに7人に働き掛け、うち3人が受診した。
 加害者のカウンセリングなどストーカー問題に対処するNPO法人ヒューマニティ(東京)の小早川明子理事長は「警察が取り締まるだけでなく、再犯防止の視点を持って働き掛けをしているのはありがたい」と一定評価。受診の働き掛けには強制力がないため、拒否されることが多い現状を踏まえ「加害者の多くは『自分は病気ではない』と思っている。精神保健福祉士など医療関係者と連携して働き掛けるような環境を整えるべき」と求めた。


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