「犯罪被害者等支援条例」 長崎県内全21市町で施行

 犯罪の被害者・遺族への見舞金支給や対応窓口の設置などを定める犯罪被害者等支援条例は、10月までに長崎県と県内全21市町で施行された。全自治体で施行された都道府県は9例目。ただ支援した自治体はまだ少なく、被害者の行政手続きなどに付き添う長崎犯罪被害者支援センターの木下達夫事務局長は「条例の制定はあくまでスタート」と話す。
 県内各市町の支援内容は、見舞金として遺族に30万円、一定のけがをした人に10万円。県交通・地域安全課によると、県内で条例が施行された2018年以降、見舞金の支給は11件(13日現在)。長崎市は転居費用や家賃の助成を盛り込んだ。
 県は、市町が設置する総合的対応窓口について、被害者の心情に沿ってなるべく1カ所で対応するよう働き掛けている。県内全自治体の担当職員らが参加する初めての研修を6月に開催し、実際の事例から対応の流れや注意点などを学んだ。今後も年1回以上実施するという。
 同センターの木下事務局長は「条例ができれば施策を継続的にしなければならないという担保になる。職員や市民の意識高揚につながる」と評価し、「相談を受けたことがない自治体もあり、対応や意識の差はあるかもしれない。条例を生かして取り組むことに意義がある」としている。


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