流行語に見る子どもと若者

 新語・流行語は「リアル二刀流/ショータイム」が年間大賞。今年の漢字は五輪イヤーなどに重ねて「金」。新型コロナの不安の中にも歓喜や熱気を残した年だといえるだろうか▲新語・流行語の候補30選には子どもや若者に関わる言葉もあった。「Z世代」とは1990年代後半から2000年代ごろに誕生し、生まれた時からインターネットが普及していた層を指す▲「ヤングケアラー」は親や祖父母の介護、年下のきょうだいの世話をする18歳未満のことで、本紙では昨年から記事が一気に増えている。その存在は長く知られてこなかった▲家族の病気や障害について誰かに話し、相談するのがためらわれ、抱え込んでしまう。それが実態なのだろう。県の調査では304人がヤングケアラーに当たる可能性があるという。子どもが“密室”で背負う困難は進学や就職にも関わり、支援が切に急がれる▲ハンドルをガチャッとひねるおもちゃ販売機は、どんなカプセルが出るか分からない。同じように親も選べないから「親ガチャ」という。人生は運任せ。この新語には嘆きや諦めがこもる▲若(も)しかして…と可能性を表す言葉には「若」が含まれている。子どもや若い人が将来を夢想し、可能性を広げられる土台を築いているか。社会がそう問われた年にも思える。(徹)

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