出土人骨「性別は男性」 三浦按針か? 平戸「按針の墓」発掘調査報告

調査結果を報告する松下館長=平戸市、たびら活性化施設

 徳川家康の外交顧問を務めた英国人ウィリアム・アダムス(日本名・三浦按針)を埋葬したとされる長崎県平戸市の墓地で出土していた人骨について「性別は男性」との調査結果が明らかにされた。11日、同市で報告会があった。人骨が按針のものかどうかの特定には至っていない。
 按針は1620年死去。地元では同市大久保町の墓碑が「按針の墓」とされている。1931年に行われた調査で後頭部と大腿(だいたい)部の骨の一部が出土した。
 同市などは2017~19年に発掘調査を実施。これまでに、人骨は10年以上、日本に滞在した北・西ヨーロッパ人で、死去した時期は按針の没年も含まれることが判明。按針のものである可能性はあるが、断定には至っていない。
 今回の報告会には約70人が参加。水野文月東邦大医学部助教が、墓地から出土した人骨の死亡年代、食性などを分析した結果、「核DNA情報の一部から、男性という結果が得られた」と明らかにした。調査に当たった土井ケ浜遺跡・人類学ミュージアムの松下孝幸館長は「歴史遺産を教育、観光、商業に結び付けてほしい」と述べた。
 報告会は、同市の按針没後400周年記念事業として昨年開催予定だったが、新型コロナ感染拡大で延期していた。


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