“電動車”でゆっくり島周遊 佐世保・黒島で県内初導入 利便性向上に期待

グリーンスローモビリティの出発セレモニー=佐世保市黒島町

 長崎県佐世保市の離島、黒島に、低速で公道を走る電動車両「グリーンスローモビリティ」(略称グリスロ)が、県内で初めて導入された。島内にバスやタクシーなどの公共交通機関がなく、観光客は徒歩や自転車などで島内を移動するしかなかったため、利便性の向上に期待がかかる。将来的には地域の足としての活用も目指す考えだ。
 「黒島の集落」は2018年、世界文化遺産に認定された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ。同年は約6千人の観光客が島を訪れた。新型コロナウイルスの影響で昨年の観光客は千人を下回ったが、今年は既に2600人を超えている。
 導入した車両は定員7人。時速20キロ未満で走行するため、ゆっくりと島を周遊できる。電動なので環境にもやさしい。黒島観光協会は、フェリー到着時に合わせて黒島港から黒島天主堂までを無料で運行したり、普通自動車免許所持者に1時間2500円で貸し出すレンタカー事業も実施したりしている。
 今後はグリスロを利用した観光客誘致のための体験プログラムの開発や、観光型の次世代移動サービス「MaaS」(マース)の導入を検討中だ。
 2日の出発セレモニーには関係者約30人が出席。朝長則男市長は「導入は交通課題の解決に大きな力になる。黒島の活性化につながれば」と話した。問い合わせや予約は同協会(電0956.56.2311)。


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