2021長崎スポーツこの1年<5・完> 長崎ヴェルカB3参戦 優勝、昇格へ好発進

1888人の観客が詰め掛けた10月のホーム開幕戦。ダンクシュートやビッグプレーに会場が沸いた=県立総合体育館

 長崎のバスケットボール史に新たな一ページが刻まれた。昨年設立された男子プロクラブの長崎ヴェルカが、10月に開幕したBリーグ3部(B3)の2021~22シーズンに初参戦。現在、19勝1敗で首位を快走中で「初年度優勝からのB2昇格」という目標に向けて好発進している。
 開幕前から期待は高かった。海外でのコーチ経験が豊富な伊藤拓摩氏が、昨夏からゼネラルマネジャー兼ヘッドコーチに就任。B1の強豪、A東京の監督も務めていた指揮官の下に、ガード狩俣昌也、フォワードのジェフ・ギブスら、B1経験者7人を含む有望選手が続々と加入した。
 コロナ禍で合流が遅れた外国人選手もいたが、チームは急ピッチで調整。まずは、B3勢が集った9月の天皇杯全日本選手権2次ラウンドを3戦全勝で通過した。
 リーグ戦でも圧倒的な強さを見せてきた。アウェー鹿児島での第1節を2連勝で飾って迎えた10月9日のホーム開幕戦。横浜EXに109-66で快勝して、詰め掛けた1888人の観衆を沸かせた。中高生のお手本になるような、チームで激しく守り続ける姿勢を見せてくれた。
 観客動員数も他チームを大きく上回っている。ホーム8試合平均はここまで約1200人。千人を超えているのはヴェルカのみだ。派手な演出や音楽、チアリーダーチーム「ヴェルチア」のレベルの高さなども含めて見どころも多く、県民の関心の高さが数字に表れている。
 その強さが本物だということを証明したのが、10月末の天皇杯3次ラウンド。前々回大会王者のB1渋谷に1点差で競り勝った。渋谷の伊佐監督が「ディフェンスの強度が素晴らしかった。あれだけやったらB3では負けないんじゃないか」と言うほどの内容だった。
 今季B3で優勝すれば、無条件でB2昇格が決定。2位ならば、コロナ禍の特例で昨季2位の岡山との昇格決定戦に回る規定になっている。
 その昇格争いでライバルになってくるのが、ヴェルカを1敗差で追う新規参入のA千葉。両者の初の直接対決は今週末の25、26日、長崎市の県立総合体育館で行われる。ここで連勝すれば、一気に独走態勢に入れる首位攻防戦。注目の大一番となる。


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