ランドセルを“クリスマスプレゼント” 宇都宮の阿部さん、児童施設へ寄贈10年

森田施設長にランドセルを手渡す阿部さん(右)

 【宇都宮】江野町の無職、阿部行雄(あべゆきお)さん(68)は2011年から毎年、睦町の児童養護施設「きずな」にランドセルを“クリスマスプレゼント”している。贈ったランドセルは昨年までの10年間で32個。今年は21日に同施設を訪ね、来春小学生になる2人に届けた。森田佳道(もりたよしみち)施設長(46)は「子どもたちにとって自分を大切にしてくれる地域の大人の存在は心の癒やしになる」と感謝した。

 阿部さんは11年、児童養護施設などに匿名の寄付が相次いだ「タイガーマスク運動」に共感し、県内でも規模の大きい同施設へのランドセル寄贈を始めた。独身で長年1人暮らし。「金銭的に自由な分、困っている人のために何かをしたかった」。13年に勤務先を定年退職した後は災害ボランティアにも参加してきた。

 毎年クリスマスの時季、次の春で小学生になる子どもたちの人数分のランドセルを贈る。「ランドセルが必要な子どもがいる限りやめられない。大変な思いをしている子どもたちの喜びになればうれしい」

 施設には12月現在、さまざまな事情で家庭から離れている3~18歳の子ども52人が暮らす。保護者によるランドセルの購入が難しいケースも少なくない。森田施設長は「ランドセルは子どもたちにとって特別な品。値段も高いので本当に助かっている」と話す。

 21日は新型コロナウイルス感染対策のため、森田施設長にランドセルの入った袋などを手渡した。阿部さんは「小学校で友達をたくさんつくってほしい」と子どもたちへのメッセージを伝えた。

 阿部さんは今後も寄贈を続けるという。「多くの人に、困っている人たちへの支援に関心を持ってほしい」と支援の輪が広まることを願った。

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