「被爆者認定」対象外 長崎の被爆体験者 厚労省案の撤回求める

 長崎の「被爆体験者」を被爆者認定対象としない厚生労働省の指針改正骨子案が公表されたのを受け、体験者らでつくる「長崎被爆地域拡大協議会」(峰松巳会長)は24日、改正案の撤回を同省に働き掛けるよう県と長崎市に要請した。岸田文雄首相と後藤茂之厚労相にも撤回を求める要請文を同日郵送した。
 被爆体験者は国の指定地域外で長崎原爆に遭い被爆者と認められていないが、地域外でも放射性物質を含む雨や灰が降り、米国の放射線量調査のデータもあることから、内部被ばくし健康被害を受けたと訴える。
 一方で国の改正案は、認定対象を広島原爆の「黒い雨」被害者に限っており、同協議会は「同じ原爆被害を受けた広島の黒い雨被害者と(長崎の体験者を)分断した」と批判。体験者の被爆者認定を重ねて要請している。
 県保険医協会(本田孝也会長)も24日、岸田首相と後藤厚労相に対し、改正案への抗議文を提出。「国の責任で(原爆被害者を)援護する被爆者援護法の理念に立ち返り、合理的根拠に基づいた指針決定を望む」とした。


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