地域の文化を盛り上げようと大学関係者が「佐世保文化研究会」をつくり、活動を始めた。まずは佐世保を代表する伝統的工芸品「佐世保独楽(こま)」を回す大会を開催。同研究会は「個性豊かな佐世保の文化を次世代に継承するため、さまざまなことに取り組みたい」としている。
同研究会を結成したのは、長崎国際大国際観光学科の尾場均准教授(57)と県立大公共政策学科の石田聖講師(38)。尾場准教授は幼少期からこま回しに親しんでいたが、大学生が回せないことを知り、ショックを受けた。一方、石田講師は昨年、授業の一環で学生とこまを回し、夢中になったという。
佐世保独楽は今では贈答品のイメージが強いが、市内唯一の専門店、佐世保独楽本舗によると、かつては大人の賭け事にも使われていたという。子どもたちには冬の遊びとして親しまれた。1人10個ほどの「マイ独楽」を持ち歩いて遊んだり、自分たちでルールを作ったりして社会性を育む役割も担っていたという。
石田講師は、そんな伝統的な昔遊びが衰退しているとの話を聞き、もどかしさを感じた。「佐世保独楽をもっと若者に知ってもらいたい」。尾場准教授と熱い思いが合致し、佐世保独楽大会を今月、市内で開催することになった。
大会では、幼稚園児や日米混合チーム、長崎国際大、県立大など5人組の6チームが出場し、回る時間の長さを競った。掛け声とともに参加者は勢いよくこまを投げ入れて対決。観客も「頑張れ」などと声援を送り、盛り上げた。
優勝したのは、市立祇園小チーム。リーダーで4年の山下然生(ねお)君(10)によると、メンバーで土日に集まり特訓を重ねたという。「最初は勝てるのか心配だったけれど、優勝して安心した」と満足そう。2位は県立大チーム。公共政策学科3年の岡本一成さん(21)は「前日に5時間練習したが、想像以上に子どもたちが強かった。リベンジしたい」と話した。
同研究会は来年2月に長崎国際大、来夏には県立大での大会開催を計画している。