長崎この1年2021<4> 出島メッセ開業 1カ月で7万人超が来場

イベント・展示ホールで「もう一度訪れたくなる施設を目指したい」と語る鹿尾館長=長崎市尾上町、出島メッセ長崎

 長崎市のJR長崎駅西側に11月開業したMICE施設「出島メッセ長崎」。鹿尾正博館長(58)は施設の中で最も広いイベント・展示ホール(約3800平方メートル)で、この間を振り返りながら「いろんな用途で活用してもらい、子どもから大人まで幅広い人たちが訪れている」と胸を張った。
 出島メッセ長崎は地上4階、地下1階、延べ床面積は約3万3500平方メートル。イベント・展示ホールの他、最大3千人が収容できるコンベンションホール(約2700平方メートル)や大小24の会議室を備える。換気やオンライン会議への対応など、新型コロナウイルス感染対策も講じた。
 館長には5月に就任。開業までは、スタッフの採用から、市や関係事業者との打ち合わせなど準備に追われた。現在は施設の維持管理に加え、各種イベント誘致の営業も進めている。
 開業以来、国際会議から物産展、3人制バスケットボールの大会など、さまざまな催しで活用された。ある時、イベント・展示ホールでのロックコンサートと同じ時間帯に、他の会議室で千人規模の学会が開かれたことも。遮音性があり音漏れはなく、施設機能の高さが裏付けられた。
 11月の1カ月だけで約7万3千人が来場。年間61万人の目標からすると、「スタートダッシュ」に成功して、順調と言えそうだ。
 また、県と市は、2023年に日本で開催予定の先進7カ国首脳会議(G7サミット)の関係閣僚会合を誘致すると表明。会場は出島メッセ長崎を想定する。政府系の大規模な国際会議について、県内への誘致を目指すのは初めてとなる。これまでは、会議開催の要件を満たす施設がなかったことが一因とされる。
 一方、九州の他の自治体も出島メッセ長崎の開業に関心を寄せる。福岡市MICE推進課は「競合施設にはなるが、福岡にとってもプラスの効果は大きい」とみる。国際会議などで、同市で対応できない場合は近隣自治体と連携しているという。担当者は「欧米などでは長崎の知名度は強み。九州全体で盛り上げていきたい」と期待する。
 鹿尾館長は、スタッフへの教育などソフト面の充実に力を入れていると明かす。「交流人口を増やし、地域活性化につながる施設となるため、利用者への対応も重要。もう一度訪れたいと思われる施設を目指したい」と意欲を燃やす。


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