対馬と韓国の高校生 芸術通し相互理解 とっておきの景色を絵で発表

対馬市厳原町の「漁火公園」から見た景色を描いた対馬高生の作品(写真左、対馬高提供)、釜山の観光名所「五六島」を展望できる陸橋からの景色を描いた、釜山情報観光高生の作品(釜山情報観光高提供)

 長崎県立対馬高(植松信行校長、409人)と韓国の釜山情報観光高をオンラインで結び、両校の生徒が、それぞれが暮らす地域の「とっておき」の景色を自作の絵で紹介し合った。
 県や県教委、県美術館でつくる「日韓文化交流実行委員会」が主催。次世代の日韓交流の担い手を育成するのが目的。
 対馬高の生徒は10月から風景画の準備を開始。まず長崎県五島市出身のアニメーション映画美術家、山本二三氏が風景画の描き方をアドバイスするビデオメッセージを視聴。県美術館職員の助言も受けながら、約2カ月かけて1人1枚ずつ作品を仕上げた。
 15日の「風景画発表会」は、対馬高から韓国語を学ぶ国際文化交流科2年の29人、釜山情報観光高は日本語を学ぶホテル調理科1年の20人が参加。対馬の生徒は韓国語で、韓国の生徒は日本語で作品を説明した。
 対馬の生徒が「学校の渡り廊下から見た空」「放課後の夕焼け」などの絵を示すと、釜山の生徒から「まるで私も同じ場所にいるような気持ちになる」「今後みんなで対馬へ行ってみたい」などの感想の声が聞かれた。釜山の生徒は、観光名所の「五六島」を望む陸橋からの景色を描いた作品などを発表した。

オンラインで、互いの土地の風景画を発表した対馬高生(手前)と釜山情報観光高生(画面)=県立対馬高

 山本二三氏もオンラインで参加し「風景画として成功している。全体的に明るくてすがすがしく、皆さんが健やかに学んでいることが分かる」と講評した。
 発表会では、両校の生徒が好みのアイドルや、趣味について楽しそうに語り合う場面も。対馬市の漁火(いさりび)公園を描いた中間遙菜さん(17)は「対馬の海と山と空が一気に見え、一番好きな場所だった。もっと韓国語の実力をつけて、コロナが落ち着いたらまた交流したい」と話した。


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