長崎県知事選 自民選対、構図に影響 中村氏、大石氏が推薦願 29日に対応協議

4選出馬を表明した中村氏=21日、県議会議場(写真右)  記者会見で立候補を表明した大石氏=21日、県庁

 来年2月の知事選を巡り自民党長崎県連は今月29日に選挙対策委員会(選対)を開く。4選を目指す現職の中村法道氏(71)と、元厚生労働省官僚で五島市出身の医師、大石賢吾氏(39)が県連に推薦願を提出しており対応を協議。その結果が選挙戦の構図に大きく影響するため、関係者の注目を集めている。
 自民は2010年の知事選で中村氏を支援し、その後2回は推薦。今回は農業、経済団体が中村氏に出馬を要請し、県市長会と県町村会も推薦した。一方で後継探しが難航した末の立候補表明を疑問視する声もある。
 大石氏は21日の会見で「次世代」と述べ、若さを強調。自民支持団体の県医師連盟の幹部らが推している。だが出馬表明から1週間に満たず「どんな人物なのか分からない」(自民市議)と知名度不足は否めない。
 ある自民県議は「自民は現職を推薦すると思われがちだが必ずしもそうではない」と内情を明かす。「いったん辞めようとした現職より、意欲のある新人を推そうとする動きもある」という。24日には農林業関連3団体が中村氏に推薦状を手渡すと発表した直後に日程が延期されるなど、水面下の攻防をうかがわせる動きも表面化した。
 党県連によると、選対は国会議員、県連役員、県議、地域支部、職域支部の32人で構成。議論してまとまらなければ意向調査(投票)で決めるという。
 ただ県議会の自民系2会派の議員は大半が新会派に合流したばかりで、新たな火種を抱えたくないとの空気もある。合流に際し知事選について「県連決定に対する造反行動には厳正に対処する」と確認。別の自民県議は「造反者を処分などとならないよう、自主投票にしてほしい」と訴える。
 中村、大石両氏は他の政党や団体にも推薦願を提出しているが、関係者は自民の対応に注目している。ある野党の県連幹部は「周囲の動きを見ながら判断する」と言う。県内最大の労働団体、連合長崎は年明けに対応を決める予定だ。
 中村氏側の関係者は警戒する。「自民が大石氏を推薦すれば(中村氏が初当選した)2010年以来の本格選挙になる」


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