〈2021スポーツ名場面回顧・下〉小林恒輝選手(糸魚川中3)全中水泳男子200メートル自由形 8位からの大逆転V ギアチェンジ、後半一気に

 8月の全国中学校体育大会水泳競技。男子200メートル自由形の小林恒輝選手(15、糸魚川中3年)は予選8位からの大逆転で優勝を果たした。端の8レーンから力泳。翌日の400メートル同(準優勝)と合わせ、2種目で県中学新記録を樹立。金銀二つのメダルを獲得した。

 小林選手は男子200メートル自由形の出場ランキング1位で臨んだ。予選は「体力を少し残しながら」温存した。ただ、加減がうまくいかず同選手も、指導する齊藤多門コーチ(41)も「やってしまった」と、ハッとするタイムに。予選落ちを覚悟したが、決勝通過ラインの8位にぎりぎり入った。

レースでの小林恒輝選手(手前)の力強い泳ぎ(提供写真)

 決勝は8レーンとなり、「端っこからぶっ飛んで、1位を狙おう」と決意した。50メートル、100メートルを2位で通過。「体力的に余裕があった。後半にスピードを出そう」と、残り100メートルを切りトップに立った。

 齊藤コーチが「ギアチェンジした」と評する泳ぎで、2位に0秒53差を付けフィニッシュ。県選手団の仲間に向かってガッツポーズで喜びを表した。1分53秒47は従来の自身の記録を1秒47更新する県中学新となった。

 翌日の400メートル自由形は準優勝。金銀二つのメダルを獲得した。予選のタイム4分6秒34から一気に上げ、決勝で4分1秒70。2日続けて県中学新記録をマークした。優勝者とは1秒69差だった。

全中、男子200メートル自由形決勝のスタートに臨む小林選手(8月18日、千葉県国際総合水泳場、提供写真)

 保育園の頃から、所属する「サンドリーム(SD)おうみ」で水泳を始めた。昨夏のJOCジュニアオリンピック13~14歳同種目で3位に入った。急成長の裏には齊藤コーチいわく、「吸収力。柔軟な考えができる。中学生とではなく、大人と話しているよう」。自身の泳ぎを見詰め、取り入れる能力にたけている。技術的には足のキックの強さに加え、200メートルだったら100~150メートル、400メートルだったら200~300メートルの「真ん中が強いのが持ち味」という。

 来春には、現在の高校1年生と対戦するジュニアオリンピックが控え、4月からの高校入学後の活躍を期している。全中優勝をあくまで「通過点」と捉え、「インターハイ優勝を目指していきたい」。将来的には日本代表に入って、オリンピックや世界水泳などに出場し、活躍を思い描く。若武者は次の目標に向かって、泳ぎ出している。

小林恒輝

 ◇全国中学校体育大会水泳競技(8月18・19日、千葉県国際総合水泳場)

 ▽男子200メートル自由形決勝 (1)小林恒輝(糸魚川中3)1分53秒47(2)飯田陽成(埼玉・狭山柏原3)1分54秒00(3)藤原佳己(兵庫・野々池3)1分54秒13

 ▽男子400メートル同決勝 (1)藤原佳己4分0秒01(2)小林恒輝4分1秒70(3)堀田武蔵(愛知・桜田3)4分4秒48

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