目標は「1軍ローテ入り」 巨人育成ドラフト5位 鴨打瑛二投手(創成館高)

「早く支配下に入って1軍でローテーションに入れるように頑張る」と意気込む鴨打=諫早市、創成館高野球場

 プロ野球巨人に育成ドラフト5位で指名された創成館高(長崎)の鴨打瑛二投手が7日に入寮する。身長195センチ、体重92キロの恵まれた体格で憧れの舞台へ挑む左腕は「吐くくらいご飯を食べて体重も増え、ボールの重みや指のかかり方も変わったなと感じる。1年目が勝負。しっかりアピールしたい」と闘志を燃やす。

■ 悔しい3年間

 小学6年で靴のサイズは29センチと規格外で、今は32センチを履く。佐賀出身で早くから注目された中、創成館高に進学。熱心に勧誘した稙田龍生監督は当時、こう笑っていた。「誕生日が4年に1度の2月29日。俺と一緒。縁を感じた。成長に時間はかかると思うけど、本当に楽しみな素材」。その期待に応え、入学早々の公式戦から登板した。  ただ、チームの投手層は厚く、振り返ると悔しい3年間だった。1年夏は県大会8強。秋は背番号1で準優勝したが、納得できる投球ができなかった。続く九州大会は先輩たちの好投をベンチから眺めた。冬を越え、出場を決めていた春も、夏の甲子園もコロナ禍で消えた。

高校最後の夏の長崎大会は好投も悔いが残る結果となった=長崎市、県営ビッグNスタジアム

 2年秋以降も思うような結果を出せず、迎えた高校最後の夏。 春の選抜に出場した大崎高との県大会3回戦は、試合開始後も入場口が混雑する注目カードだった。先発で8回1失点とほぼ完璧に投げて3点リードで最終回へ。だが、ここで稙田監督に脚の違和感を告げてマウンドへ上がると、無死から走者2人を許して降板。救援陣が7点を失って逆転負けした。  それまで試合中、自ら不調を伝えることはあまりなかった。大会前には制球も安定して「ずっと言われ続けていた“勝てる投手”の感覚をつかんでいた感じもあった」。それだけに「情けなく悔いが残った」ラストゲームだった。でも、その経験も含めて、今は「大きく成長できた3年間だった」と胸を張って言える。「創成館高に来て良かった」と。

■ 伸びしろ評価

 昨年12月8日、東京・両国国技館。巨人の新入団選手発表で第一歩を刻んだ。「見慣れないファンの方々やライトアップとかの演出も、舞い上がるくらいすごかった。控室では緊張していたけど、出番になると興奮というか、これがプロの世界なのかと実感が湧いてきた」
 背番号は「047」。育成選手を表す3桁からのスタートだが「47」は好投手を象徴する番号の一つで「早くゼロが取れるように」と気持ちは乗っている。3年間、寮で寝食も共にしてきた稙田監督は「チャンスはどこにでも転がっている。それを生かして1年目でいかに飛躍するか、それがすべて。育成でも支配下に入って一気に活躍する選手もいる」と期待する。
 見据えるのは「1軍でローテ入り」。球団からも「大型ながらバランスのいいフォームとピッチングセンスが特長。将来的に先発完投型でローテーションに入って活躍してほしい」と伸びしろを評価されている。
 間もなく新人合同自主トレーニングに入り、厳しい競争の世界での自己アピールが始まる。「もっとスケールを大きくして、早く支配下に入って勝てる投手になる」。佐賀、長崎で育った未完の大器の挑戦が始まる。


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