伊勢原・日向薬師で「初薬師」 年に5日だけのご開帳、本尊に祈る家内安全・無病息災

内藤住職が読経をあげ、家内安全や無病息災を祈る参詣者=伊勢原市の日向薬師

 神奈川県伊勢原市の山あいにある日向薬師(同市日向)で8日、今年一年の家内安全や無病息災を祈願する「初薬師」が行われた。国指定重要文化財に指定され、年に5日しか拝観できない本尊の薬師如来像が開帳され、訪れた人々は静かに手を合わせた。

 日向薬師は奈良時代の716年に僧の行基が開創したとされる古寺。「日本三薬師」の一つとされ、源頼朝や妻の北条政子も度々お参りに訪れたと伝えられている。

 本尊の薬師如来像は平安時代中期の制作とされ、表面はのみの彫り跡を残す「鉈(なた)彫り」と呼ばれる東国地域固有の技法が用いられている。本尊は初薬師や4月の例大祭など年間5日しか開帳されず、訪れた住民は内藤京介住職が読経をする中、柔和な表情を浮かべる薬師如来に手を合わせた。

 例年、参拝者には健康を願い地元産の野菜で作る「薬師粥(がゆ)」が振る舞われるが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止に。内藤住職は「皆さんの健康を願いお経をあげた。今年こそ収束に向かい、平穏な一年になるといい」と話した。

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