「対馬地球大学」9月開校へ 持続可能な社会の担い手育成を図る

「対馬地球大学」の開設が予定される旧対馬市立佐護小=同市上県町

 長崎県対馬市で、オンライン講義と島内での現地実習を組み合わせた教育機関「対馬地球大学」を9月ごろをめどに開設する準備が進められている。国内外から学生を募集し、「持続可能な社会」の担い手育成を図る。
 実施主体は、同市でまちづくり活動に取り組む非営利型株式会社「対馬地球大学」(高野清華社長)。同社は、閉校した旧市立佐護小(上県町)の土地建物を市から無償で借り受け、2021年春、交流拠点施設「ふるさとづくり『佐護笑楽校』」を開設。食堂やギャラリー、貸し会議室などを運営している。
 同施設に「大学」の本部を設置。文部科学省の認可は受けず、2年間通って卒業論文を提出すると、独自の卒業資格を得られる仕組みとする。地元経営者や農林漁業者、職人など数十人を講師として招聘(しょうへい)し、生活の知恵や長年培った技術、地域への思いなどを指導する。国私立大から外部講師を招く計画もある。
 国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を軸に環境や地域づくり、福祉、平和、自治、共生社会、農林漁業などをテーマにしたオンライン講義と、対馬での現地実習などを組み合わせ、学生が主体的に学習できる態勢を整える。
 高校を卒業した18歳からベテラン世代まで国内外から学生を募集。年間10人程度、将来的には年間20人程度を受け入れ、社会人の学び直しの場としても活用してもらう。佐護笑楽校内に今後整備する宿泊客向けゲストハウスの一部を「学生寮」として活用。学生が中長期で島に滞在できるようにする。
 同社は、教育プログラムの構築やゲストハウス整備など開校費用の一部(1千万円)について、クラウドファンディング(CF)で9日から寄付を募る。高野社長(38)は「地域には魅力的な自然や人が集まっており、より現場での学びを深めることができる。持続可能で、平和な世界実現に向けた担い手を育てていきたい。新しい教育を通して、地域が盛り上がり、元気になれば」と話す。


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