知られざる国会議事堂“政界遺産” 前庭に並ぶ自慢の一本 広間の柱には古代の…

国会議事堂

 国会中継やニュースだけでなく、テレビドラマにもたびたび登場する国会議事堂。与野党が丁々発止の論戦を繰り広げる光景は目にしても、その「場」については知らないことが多い。17日に召集される通常国会を前にひっそりと静まり返った国会を歩き回ると、世界遺産ならぬ〝政界遺産”がそこにあった。

 日本の政治の中心地、東京・永田町の国会議事堂。1936年11月に建設され、中央にそびえるピラミッドのような階段屋根が特徴的だ。国会内の警備や見学者の案内などを担う衆議院警務部の橋本喜慶さん(51)と一緒に歩いた。

 橋本さんの役職は4階級で最も高い「衛視長」。この道33年のベテラン職員だ。心なしか、すれ違う衛視たちの敬礼がいつもより切れがいい感じがするのは気のせいだろうか。

◆ご当地を代表

 まず向かったのは、国会構内の前庭。「都道府県の木」と彫られた石碑が遊歩道の入り口に立つ。両側に沿ってに植えられている樹木は70年の議会開設80周年を記念して各都道府県から寄贈されたものという。

 山形県はサクランボ、栃木県はトチノキ…。ご当地を代表する一本がずらりと並ぶ。神奈川県はイチョウ。葉は散ってしまったが、都会のど真ん中で枝を大きく広げる姿が何ともたくましく誇らしい。

 それにしても、ほかに比べてイチョウの本数が多い気がするのはなぜ? 「隣に植えられている東京都もイチョウなんです」。橋本さんがそう説明してくれた。生育場所の向き不向きがあり、こうして「かぶる」こともあるらしい…。

 ともあれ、四季折々の風景が楽しめる遊歩道。運動不足解消のため、ウオーキングコースとして使っている国会議員もいるそうだ。

◆古代のかほり

 「これです、これ。分かりますか」

 衆院3階の中央広間近くの柱の前で立ち止まった橋本さん。その指さす先に、エビのような形をした凹凸が見てとれた。こうして教えてもらわなければ、白黒の模様にしか見えない。「植物の化石じゃないかと言われています」

 いわく、中央広間周辺の壁や柱には海底から採掘した沖縄県産のサンゴ石灰岩が使われているため、多くの化石が見られるという。「もっと多くの化石があるかもしれません」。参院2階の中央広間近くの柱にある直径10センチを超える二つの巻き貝が有名だという。

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