バイコレスのハイパーカーデビューに暗雲。WECへの年間エントリー申請が却下か

 アメリカのスポーツカーレースメディア『Sportscar365』は、WEC世界耐久選手権の2022シーズンに向けたバイコレス・レーシングのエントリー申請が、ホモロゲーションに関する理由により却下された模様だと報じている。

 月曜日に行われたシリーズの選考委員会からの通知を受けたチームの上級幹部は、バイコレスが製造するル・マン・ハイパーカー(LMH)『ヴァンウォール・バンダーベルLMH』が、2022年のWECフルシーズンエントリーリストには含まれていないことを示唆した。

 この申請の却下は、新型ノンハイブリッドLMHが、そのホモロゲーションプロセスをまだ完了していないという事実に基づくものとみられる。COVID-19のパンデミックの影響を受け、バイコレスはLMHのホモロゲーション・スケジュールに影響を与えるいくつかの遅延に見舞われたものと理解されている。

 トヨタ、プジョー、アルピーヌ、グリッケンハウスなどを含むトップカテゴリーのエントリーにおいては、基本的に2022シーズンの6ラウンドすべてに出場する必要がある。

 バイコレスはフルシーズンのエントリーを申請し、(エントリーフィーの)支払いも行った。その際、ホモロゲーション前のテスト完了に時間が必要なため、3月のシーズン開幕戦であるセブリング1000マイルレースへの出場をスキップし、5月の第2戦スパでデビューを飾るという但し書きをチームは添えていた。

 このエントリー却下により、ヴァンウォール・バンダーベルLMHがいつレースデビューできるのかという点について、疑問が生じている。

 もし2022年のWECのグリッドにヴァンウォール・バンダーベルLMHが出現すれば、それはF1の歴史の初期に存在した伝統的な名称がモータースポーツへと戻ることも意味する。

 トニー・バンダーベルによって設立された英国の会社ヴァンウォールは、スターリング・モスとトニー・ブルックスを擁して1958年にF1の最初のコンストラクターズタイトルを獲得した。

 ドイツの会社登記によれば、LMH車両やロードゴーイングカーなどすべてのバイコレスの自動車プロジェクトを包括しているPMC GmbHは、商標のひとつとして『ヴァンウォール』の名を保持している。

 会社のオーナーであるコリン・コレスは公式コメントを控えたが、別の上級幹部は、2018年という早期からLMHにコミットメントしていることを考慮すれば、このエントリー却下は「驚くべきこと」であると述べている。

 Sportscar365はこのエントリー却下についてのコメントを求め、WECオーガニゼーションに連絡を取っている。

 この状況が、LMHのレースデビュー時期をまだ正式決定していないプジョーに対してどう影響するのかは、現在のところ明らかではない。

 2021年12月に新型LMH『9X8』のシェイクダウンを行っているプジョーとは異なり、ヴァンウォール・バンダーベルLMHはまだ最初のシェイクダウンを完了していない。

バイコレスのワークショップでシートフィッティングを行うトム・ディルマン

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