国鉄貨物輸送今昔1

一回目のシリーズは、貨物輸送の今昔として何回かに分けてお話をさせていただこうと思います。

コンテナ列車は半世紀以上前から運転されていた

今回は、昔の貨物列車のお話となります。

貨物列車というと皆さんは機関車に牽引される、コンテナ列車を思い浮かべる方も多いと思います。

現在では当たり前になった、コンテナ列車ですが、最初に走ったのは1959(昭和34)年11月だそうですから半世紀以上の歴史があることになります。

最後尾には、コンテナと同じ色に塗った専用の車掌車が連結された特急たから号が運転されました。

画像は、京都鉄道博物館に保存されている、ヨ5000形で、たから号、並びにコンテナはこの色に塗られていました。

この列車の運転開始は、昭和34(1959)年11月5日から運転が開始されたそうです。

試運転と言いますか、試験輸送は同年6月22日から汐留~梅田間で開始され、試作貨車2両並びにコンテナ20個を全て使って、汐留20:20発→梅田11:49 71列車、梅田 20:00→汐留9:00 60列車として週四回運転されたそうです。

11月21日まで試作車による輸送が試行され、22日からは急行便貨物列車の一部をコンテナ車に置き換えて試験輸送が続けられたそうです。

こうして、11月5日を迎えた、コンテナ専用列車は、たから号という愛称を与えられ、コンテナ車24両を連ねる専用列車として活躍を開始することになります。

当時の資料を参照しますと、たから号は、出発式が 19 時から汐留 、15 時から梅田でそれ行われたそうで、梅田ではブラスバンドの演奏も有ったと記録されています。

この日を境に、日本における本格的なコンテナ輸送はスタートしますが、運転開始当初は利用が低迷してしまいます。

当時のトラック輸送は500 km程度程度まで進出しており、中々トラック輸送に対抗できなかったとされています。

しかし、国鉄も手をこまねいていたわけではなく、昭和35(1960)年8月にはコンテナ運賃の大幅値下げを行うとともに積極的な宣伝を行うことで昭和35年10月以降は一気に以下のように列車が増えることになりました。

区間 列車名 コンテナ列車運転開始 汐留~梅田たから 1959.11.05隅田川~東札幌はっかい 1960.10.01隅田川~万代こがね 1960.10.01梅田~福岡港はやて 1960.10.01梅田~広島はやて 1960.12.01汐留~笹島ゆたか 1961.03.01汐留~梅田第2たから 1961.10.01汐留~梅田 さかえ 1961.10.01

こうして、コンテナ輸送は,1961年→1965年の、わずか4年で、コンテナ数もコンテナ車も約8倍まで増加することとなりました。

当時のコンテナ及び貨車の話

コンテナは、5tで、木製・アルミ製・鉄製の3種類が試作されたそうです。

大きさは、現在のコンテナと比べると小ぶりで、以下のようになっていました。

  • 長さ 3240 mm
  • 幅 2300 mm
  • 高さ 2300 mm

製作メーカーは、東急車輌と富士重工で格10個ずつ製作することとされており、鋼製7個、アルミ製2個、木製1個各々製造したそうです。

なお、コンテナの締結装置も各社工夫を凝らしたものが製作されたそうです。

現在のコンテナ貨車に使われている緊締装置は、東急車輌製のコンテナに使われていた締結装置を貨車に取り付ける形にしたものだそうです。

なお、コンテナ車の3240 mmという長さは、当時東海道新幹線の貨物輸送が計画されており、その際は在来線とは直角の方向で積載するため、その車両限界に併せたためであり、昭和46(1971)年にISO規格に準じたC20形コンテナが誕生するまで、この規格が国鉄コンテナの標準として使用されることとなりました。

当時は、コキという名称がなかったコンテナ車

なお、当時はコンテナ貨車という名称はなく、長物車の分類のチキ5000と名乗っていました。

このコンテナ専用貨車は、その後量産されるコキ5500の原形となった車両ですが、特徴的な点は、コキ55000では車端に設けられていたデッキが無くて、最新のコンテナ貨車、コキ100形同様、車端にデッキが無いのが特徴です。

その後量産されたコキ5500は車端にデッキ付となりますが、これは手ブレーキの操作性などから行われたからでした。

チキ5000並びにその後のコンテナ車でありコキ5500はいずれも85 km/hの最高速度の貨車で、現在の基準で考えれば決して速いとは言えませんが、当時は高速道路も整備されていませんでしたので、東京~大阪を10時間ほどで直通するのはかなり速い列車であったことは容易に想像がつくのではないでしょうか。

おわりに

今回は、JR貨物の主力であるコンテナ貨車の始まりについて簡単に歴史を振り返ってみました。

多少なりとも、貨物列車にも興味を持っていただければ幸いです。

【著者】加藤好啓

© 合同会社総合戦略研究会