Gen3規定マスタング&カマロZL1が2022年初テスト。シリーズは“国際戦”復活を模索/RSC

 オーストラリア大陸を代表するツーリングカー選手権、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで、2023年より正式導入がアナウンスされている新車両規定“Gen3”を採用する『フォード・マスタング・スーパーカー』と『シボレー・カマロZL1スーパーカー』が、年明け2022年の初テストを実施。イプスウィッチに位置するクイーンズランド・レースウェイで、各陣営のレギュラードライバーたちがステアリングを握った。

 また、昨年末にシリーズの新CEOに就任したシェーン・ハワードは、この新しいGen3規定に関連する「国際戦略」の一環として、オーストラリア国外で実施する“インターナショナル戦”をカレンダーに復活させる計画を表明している。

 2021年最終戦となった『バサースト1000』で初お披露目された各新車両規定モデルが、年明けすぐとなる1月第3週にクイーンズランド州へと運び込まれた。

 このテストでステアリングを握ったのは各陣営2名の計4名で、フォード陣営からはホモロゲーション登録チームとして『フォード・マスタング・スーパーカー』の開発を担当するディック・ジョンソン・レーシング(DJR)からウィル・デイビソンが、マット・ストーン・レーシング(MSR)よりゼイン・ゴダードが参加。

 一方、これまで長年に渡ってシリーズの伝統を守り、2023年からは同じくGM(ゼネラルモータース)傘下、シボレー・ブランドにその歴史を引き継ぐホールデン陣営からは、ファクトリーチームであるトリプルエイト・レースエンジニアリングで、新王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンの新たな僚友を務める新鋭ブロック・フィーニーと、2021年シリーズ初優勝を達成したエレバス・モータースポーツのウィル・ブラウンが『シボレー・カマロZL1スーパーカー』をシェアした。

 この2台はマウント・パノラマ・サーキットでの披露時より、サスペンションを中心にあらゆるメカニカル・コンポーネントのアップデートを受けており、今回のテストではオイルタンクとアンチロールバーの確認に焦点が当てられた。

「クルマのコンポーネントのいくつかはコントロール部品として制御される予定であり、オイルタンクもそれらのうちのひとつだ」と語るのは、主にホールデン系のエンジンチューナーとしてシリーズに携わってきたクレイグステッド・レース・エンジンズ社代表のクレイグ・ヘイステッド。

2021年最終戦となった12月の『バサースト1000』で初お披露目された各新車両規定モデル
フォード陣営からは、DJRのウィル・デイビソンとMSRのゼイン・ゴダードが参加した
「Gen3規定マシンの感触を知るだけでなく、DJRの仕事ぶりを学べたのも大きい」と、MSRのゴダード

■新代表のハワード氏は、国際展開において「重要なパートを担うことができるはず」とコメント

「テストでの我々の仕事の一部は、これらの機能部品を検証し、コンポーネントをさらに開発、最適化することだ。2023年には25台もの車両に対して納品する必要があるからね」と続けるヘイステッド代表。

「もし検証プロセスにエラーが発生した場合、Gen3車両の導入プログラムは一時停止を強いられることになる。ただでさえ、世界的サプライチェーンの影響で1年延期を余儀なくされている……というのにね」

「したがって、このプロセスの一部は新規定車両が信頼でき、目的に合致していることを確認するための適合テストになる。すでに我々はいくつかの課題を発見しているが、2023年より前にそれらを修正できる点が重要で、それ自体はとても良いことだ」

 そのGen3車両が最初のデモンストレーション走行を披露した2021年12月、クリスマスを前にショーン・シーマーからシリーズCEOを引き継いだ新代表ハワードは、このGen3規定車両の登場がシリーズの国際展開において「重要なパートを担うことができるはずだ」と、新たな可能性に言及した。

「私も昨年のバサーストでGen3のプレミアとデモランを目撃したが、それは非常にエキサイティングなものだった。2台はともに美しく設計されたレースカーであり、ショールームでのエクステリアを反映しており、より多くのメーカーに門戸を開くことができると感じたんだ」と続けるハワードCEO。

 スーパーカーとしては2001年にニュージーランドで初の海外戦を実施して以降、2005年から2013年にかけて、アブダビ、バーレーン、中国、そして北米テキサスのCOTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)でレースを開催してきた。

「私自身、中国でのこけら落としの場に立ち合い、その後、バーレーン、アブダビをスタンドアローンで実現させ、次に地元メルボルンでのF1サポートレース化、そしてアメリカ上陸も成し遂げた」と、シリーズで20年近く実務を担当したCOO(チーフ・オペレーティング・オフィサー)時代を振り返ったハワード。

「実際、Gen3規定マシンは国際戦略のすべてをサポートする要素を備えている。それは我々の成長と拡大にとって非常に重要なんだ。これまで数多くのコンサルタントが我々にアプローチしてきたが、我々の組織こそこのカテゴリーを国際的にプロモートするのに最適な存在だと自負している」

2021年にRSC初優勝を飾った初代TCRオーストラリア王者のブラウン。「短い休暇だったけど、クルマに戻れて最高。音もルックスも文句なしさ」
2021年はSuper2のタイトルを獲得し、晴れて最高峰昇格のフィーニーは「今はマイルを稼ぎ、すべてが正しく機能していることを確認するのが重要」
「我々は一定の期間、国際戦の開催を”我慢”してきたところがある」と新CEOのシェーン・ハワード

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