衆院区割り 県が意見書 関連議員や市民ら、選挙区分割の解消求める 「離島、少数意見に配慮を」

 衆院小選挙区の区割り改定案を巡り長崎県が県内定数1減を前提とした意見書を国に提出した21日、本県関連の衆院議員や市民からは、自治体の選挙区分割の解消をはじめ、離島や少数意見への配慮を求める声が聞かれた。
 自民党の谷川弥一衆院議員(80)=長崎3区=は本県の人口約130万人を念頭に「均等に3分割すると約43万人だが、新2区は人口減少を見込み約46万人にしてほしい」と要望。「離島は現行通り一つの選挙区にまとめ、佐世保市の分割は解消してほしい」と求めた。
 「離島県なので各選挙区に離島地域を入れるべき」と話すのは、3区を地盤とする立憲民主党の山田勝彦衆院議員(42)=比例九州=。「本県選出議員が島に選挙区を持つことで、離島振興により力を入れやすくなる」とし、同じ市で選挙区が分割されている現状には「投票率低下につながるため解消していく必要がある」と強調した。
 対馬市上県町の団体職員、島居佳都雄さん(57)は「離島同士、似たような地域課題がある。今後の振興を考えたら、これまで通り五島列島と壱岐、対馬はひとまとめにした方がいいのでは」と話した。
 「単純に人口だけで判断する現行の制度自体がおかしく、実態に合っていない」。自民党の加藤竜祥衆院議員(41)=2区=は今回の区割り改定にこう疑問を投げ掛ける。東京の定数が5増となる見込みを踏まえ「(東京には)『もういらない』と言う人もいる。複雑な本県の地理を考えると、衆院議員は4人のままが望ましい」と述べた。
 島原市上の町の自営業、松坂智子さん(64)も「選挙区が広くなると、今以上に少数の意見が通らなくなる」と懸念する。「国政に多様な意見を届けるためにも、全県区で複数人を選出してはどうか」と抜本的な選挙制度改革を求めた。


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