愛されたパンがよみがえる 倒産のパン工房「ベルベ」後継店、元職人らの手で26日オープンへ

オープンの準備が進むリベルベの店舗=伊勢原市石田

 顧客に愛され続けたパンを再び提供したいと、昨年11月に倒産したパン・洋菓子店「ベルベ」の元従業員有志が26日、小田急線愛甲石田駅近くにパン店「REBELLBE(リベルベ)」(神奈川県伊勢原市石田)を開店させる。元ベルベの店舗を利用したもので、集まった元職人らは「以前の味、さらにそれを上回る味」を目指して準備を進めている。

 ベルベは大和市に本社を置き、県内や都内、静岡県などで28店を展開していたが、昨年11月、事業を停止し全従業員が解雇された。

 新たに「リベルベ」を開店させるのは、ベルベの元店長小嶋亮さん(44)が社長となって昨年12月に設立した株式会社アズ(大和市大和南)。小嶋さんのもとに、元従業員のパン職人など約20人が集まった。

 実は、小嶋さんはベルベの社長の娘婿に当たる。だが当時、コロナ禍でも店舗の売れ行き自体は好調で、小嶋さん自身「経営が危ういとは全く知らなかった」と振り返る。小嶋さんも解雇され、ベルベの社長はその後、行方不明に。家族にも全く連絡がないという。

 一方、顧客からは惜しむ声が次々と寄せられた。混乱の中、以前から独立を考えていた小嶋さんは会社設立を決意。ベルベが借りていた複数の店舗オーナーと交渉を重ね、応じてくれた愛甲石田店を「居抜き」で借り、今回のオープンにこぎ着けたという。

 「ベルベは店内で粉を練り、一からすべて作るのが特徴。庶民的なカレーパンやメロンパンなどが人気だった。顧客の高い期待に応え、以前の味以上にして提供したい」と意欲を見せる小嶋さん。店の看板の掛け替え、パンの試作など開店準備の真っ最中だ。

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