核禁条約発効から1年 長崎で集会 軍縮へ「大きな力」 被爆者らが日本政府に参加呼び掛け 

核兵器禁止条約の発効から1年となり、政府に条約への参加を呼び掛ける被爆者ら=長崎市、平和公園

 核兵器の開発や使用、保有などを全面禁止する核兵器禁止条約が発効して1年となった22日、長崎市松山町の平和公園で被爆者や平和活動に取り組む高校生らが集会を開いた。核軍縮へ「大きな力になる」などと述べ、政府に一日も早い条約への参加を強く求める「集会アピール」を採択。被爆地から世界に核廃絶を訴えていくことを確認した。
 同条約は59カ国・地域が批准。3月には第1回締約国会議がオーストリア・ウィーンで予定されている。米国の核の傘に頼る政府は条約への署名・批准に消極的な姿勢を示している。
 集会には約150人が参加。平和祈念像前で批准国の国旗を掲げ、「実験」「保有」「使用の威嚇」など禁止事項を記したプラカードを手にアピールした。
 被爆者団体を代表し、県平和運動センター被爆連の川野浩一議長は「まだ核兵器廃絶の壁は厚いが、核兵器禁止条約の発効は大きな力。この集会を核兵器廃絶の新たな一歩として頑張ろう」と呼び掛けた。
 国会議員も招かれた。自民党の古賀友一郎参院議員(長崎選挙区)は「世界から核兵器をなくすことは人類共通の目標だ」と述べ、安全保障上の理由からすぐに条約に参加できなくても、政府は締約国会議にオブザーバー参加すべきだと主張した。立憲民主党の末次精一衆院議員(比例九州)は「国として条約に賛成し、それを広げる姿勢を世界にアピールすることが重要だ」と訴えた。
 この1年で、核保有国が核兵器の増強を図る一方、米中ロ英仏の核保有五大国首脳が「核戦争回避」を最重要責務とうたう共同声明を発表するなど変化の兆しもあった。県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長は、こうした動きの背景には条約の発効があると指摘。「核軍縮に向かう『芽生え』があった1年だった」と振り返った。


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