長崎県内全域「まん延防止」に県民は 飲食店落胆 感染拡大、生活への影響懸念

スーパー入り口に設置された消毒液。重点措置区域の拡大で市民にも一層警戒感が広がる=西彼長与町

 新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の拡大が止まらず、長崎県は25日、「まん延防止等重点措置」の対象区域を県内全域に広げると決めた。「またか」。影響の大きい飲食店関係者は肩を落とす。県民からは、厳しい感染拡大防止策を求める意見や長期化による生活への影響を懸念する声が上がった。
 長崎、佐世保両市に同措置が適用されたのが21日。わずか4日後に県内全域への拡大が決まった。大村市で居酒屋などを経営する野中洋平さん(36)は「想定より感染の再拡大が早かった」とため息をついた。昨年末は徐々に客足が戻り「あと2、3カ月くらいは」と期待していたが、再び酒類提供や営業時間を制限されることになる。2月に予定していたバーの移転オープンも延期を決めた。「だが2月13日で本当に解除されるのだろうか」と不安げに話した。
 諫早市で居酒屋を営む男性(41)は「仕方ない」と冷静に受け止めつつ「酒を提供する店だけ責められている気がする」とぽつり。「協力金だけでは損失の穴埋めにはならない。経営が立ちゆかなくなる前に、政府や行政に有効な手を打ってほしい」と訴えた。
 高齢者施設でクラスターが発生した東彼東彼杵町。同町社会福祉協議会のケアマネジャー、山下友浩さん(42)は「施設が利用できず、運動や入浴など生活に影響が出る人もいる。長期化しなければいいが」と心配する。「基本的な感染対策を徹底していくしかない」と気を引き締めた。
 連日新規感染者が増えている壱岐市の会社員、松山高大さん(29)は「市の危機管理は大丈夫かと心配になる。来島者への検査や陰性証明、ワクチン接種証明の確認などで厳しく対処してほしい」と注文した。
 小学生の息子を育てる西彼長与町の大学教員女性(52)は、息子の学校の授業が短縮されたり、利用する学童保育から自粛を求められたりと、身近に影響が及ぶのを感じていた。「学校が休みになり、学童でも預かれない場合はどうすればいいのか。夫婦交代で休むのも長期化すると難しい」と悩んでいた。


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