北東アジアの核兵器使用リスク削減へ 長崎大レクナが研究報告書

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北東アジアにおける核兵器使用の可能性に関する報告書について、オンラインで説明する研究者ら

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)などは28日、北東アジアでの核兵器使用リスク削減に向けた研究報告書を公表した。主に朝鮮半島に注目し、核兵器が使われ得る25の事例を想定。敵対相手への誤解や、不安定な国内外情勢が発端となる恐れを指摘した。これらを防ぐため、透明性のある対話や指揮系統の厳格化が必要だとした。
 米国や韓国のシンクタンクとの3カ年共同研究の初年分をまとめた。2年目は想定事例に基づき死傷者や環境汚染などの影響を詳しく評価し、最終年に、より具体的な政策を提言する。
 今回は軍事や政治の専門家による協議や論文などを基にリスクを想定。北朝鮮か米国のいずれかが先に核兵器を使う事例を中心にシナリオを組んだ。具体的には▽北朝鮮が軍事的意図を誤解し米韓を攻撃▽北朝鮮が韓国を示威的に攻撃▽米国が北朝鮮の核システムを破壊するため攻撃-などの事例を想定した。
 反撃の有無や外交交渉次第で展開は異なるが、日本が核攻撃の対象となる場合もある。台湾有事を発端とする米中の核戦争や、日中への核テロ攻撃、災害やサイバー(電脳)攻撃による予期せぬ核ミサイル発射も例示した。
 一方、現時点でシナリオから得られる「教訓」として▽敵対相手との継続的なコミュニケーション▽偶発的な核攻撃を防ぐため、指揮系統に多重チェック機能を備える▽サイバー攻撃や災害時で指揮系統が途絶えた際の対応を想定する-などを挙げた。
 28日にオンラインで会見したレクナの鈴木達治郎副センター長は「安全保障では想定外を想定し、先入観を持たずに考えることが重要。確率は検討してないが(25事例は)十分に起こり得ると説明できるものに限った」と強調した。報告書はレクナのホームページで公開している。