長崎日大 選抜高校野球大会 出場へ 23年ぶり、待望の“春切符”に歓喜

23年ぶり3度目の選抜出場が決まり、帽子を投げて喜ぶ長崎日大の選手たち=諫早市、長崎日大学園野球場

 第94回選抜高校野球大会(3月18日から13日間・甲子園)の出場32校を決める選考委員会が28日、オンラインを併用して開かれ、昨秋の九州大会4強の長崎日大が23年ぶり3度目の代表校に選ばれた。九州の一般選考枠は4で、長崎県勢としては2020年の創成館、21年の大崎に続いて史上初の3年連続選出。昨秋の九州大会8強の海星は補欠校となった。
 戦力以外の要素を加味する21世紀枠は大分舞鶴、丹生(にゅう)(福井)、只見(福島)が選出された。3校は春夏通じて初の甲子園出場。
 一般枠では29校を選出。奄美大島の公立校、大島(鹿児島)は21世紀枠で出場した2014年以来となる2度目の出場。和歌山東は春夏合わせて初、クラーク(北海道)有田工(佐賀)は春初出場。2度の春夏連覇を誇る大阪桐蔭や、過去3度選抜大会優勝の広陵(広島)、昨秋の九州大会覇者の九州国際大付(福岡)、スラッガーの佐々木を擁する花巻東(岩手)も選ばれた。日大三島(静岡)は38年ぶり、広島商は20年ぶり。昨年の選抜大会を制した東海大相模(神奈川)は選出されなかった。
 組み合わせ抽選会は各校主将がリモートで参加し、3月4日に行う。

■一戦必勝へ ここからがスタート

 春は1999年、夏も2010年を最後に甲子園から遠ざかっていた長崎日大に、待望の便りが届いた。出場校の選考材料だった昨秋の九州大会は4強入り後の準決勝でコールド負け。過去に同様の戦績で落選したチームもあっただけに一抹の不安は残していた。それでも、2試合連続で他県の優勝校を打ち破った攻撃力などが評価されて、無事に歓喜のときを迎えた。
 21世紀枠に続き、一般枠は北から順に発表。長崎日大は出場32校の最後に名が上がった。張り詰めた空気の中、電話で吉報を受けた池内一郎校長がグラウンドで待つ選手たちへ報告。「おかげさまの気持ちで、意識レベルも上げて精進を続けてほしい」と激励した。
 今季も順調な出だしではなかった。昨年8月の中地区新人大会は予選リーグで諫早農に敗れたところでコロナ禍で打ち切り。多くの課題を抱えて秋を迎えた。九州大会出場権が懸かった県大会準決勝は、夏の甲子園出場校の長崎商などを倒してきた諫早農に逆転勝ちで雪辱。打力で道を切り開く貴重な試合だった。
 九州でも1回戦の小林秀峰(宮崎)、準々決勝の佐賀商との2試合で計28安打23得点を記録。準決勝は7安打を放つも好機を生かせずに、優勝校の九州国際大付(福岡)に2-12の七回コールドで敗れた。ただ、九州国際大付は準々決勝で明豊(大分)に五回コールド勝ち、決勝も大島(鹿児島)に12-6で大勝。長崎日大の選出はほぼ順当だった。
 開幕までの残り約1カ月半、秋に痛感した全国上位レベルとの差をどれだけ埋めていけるか。大幅に経験値を上げられる甲子園に向けて冬場も厳しい体力トレーニングや基礎基本を重ね、紅白戦やシートノック、打撃では18人の選手登録へ部内競争も白熱。喜びもそこそこに、ここからがスタートだということを選手たちは実感している。
 昨季から打線の中軸を担う百武伸は「やるしかない。九州大会はふがいなかった分、甲子園で結果を出す」と気を引き締め直し、主将の河村恵太は「一段階も二段階もレベルアップする。出るからには日本一。厳しい戦いになるけれど、一戦必勝でいく」と誓った。


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