韓国法律紙「徴用工判決で日本は国際法違反と主張するが意味不明」「明確な要求なく紛争化もできず」

日韓関係冷却化の直接的原因となった韓国最高裁による2018年の徴用工裁判判決。日本側はこれを国際法違反とするが、これについて韓国法律紙が法的な検討を行っている。

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韓国の「法律新聞」はパク・ペグン釜山大ロースクール教授『日本が主張する《韓国の国際法違反状態》に関する法的検討』という記事を掲載した。

パク教授は「日本政府は強制徴用関連の韓国最高裁判所判決が(日韓基本条約の)請求権協定第2条に《反する》と言う」としつつ、「ところが日本政府の法的立場と主張はその意味が明確ではない点がある」と指摘した。

パク教授は「日本の法的立場表明で使用された《違反》が《行為》を意味するならば、日本政府は韓国最高裁判所の強制徴用関連判決 《行為》が請求権協定や他の国際法に違反したと主張することになる」としつつ、「韓国最高裁判所の判決行為(作為)が請求権協定や国際法に違反する《行為》になるには、そのような判決行為を禁止する条項が請求権協定にあるか、他の国際法がなければならない」と指摘。

しかし「請求権協定には、韓国裁判所の一定の《判決》行為を直接禁止する規定がない」とし、「仮に請求権協定締約国の司法が請求権協定内容に明白に反する判決をしてはならない義務を負うとしても、そのような義務は請求権協定上の義務ではなく一般国際法上の義務である」と説明した。

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一方でパク教授は、「一般国際法は、国家司法機関による《裁判拒否(denial of justice)》を禁止する」とし、外国人に有利な判決を拒否したり、外国人に弁護人と疎通する機会を拒否したりすることを禁じるが、「強制徴用関連の最高裁判所の判決が下される手続において、上記と同じ種類の行為はなかった」と伝えた。

パク教授は、「しかし日本政府としては韓国最高裁判所が悪意的に国内法を誤って適用したため、実体的裁判拒否をしたと主張する余地はある」としつつ、これに関しても「今回の判決で最高裁判所にそのような悪意があったとは思えない。また、そのような悪意の立証は極めて難しい」と指摘した。

パク教授は、安倍元首相が新日鉄住金の再上告審判決直後、この問題について国会で「国際法に照らしてはならない判断」と批判したことを挙げ、「韓国最高裁判所が請求権協定を明白に誤まって解釈して適用し、実体的裁判拒否行為をしたという主張と理解することもできる発言だ」としつつ、「しかし、そのような主張が妥当となるには、韓国最高裁判所の判決が、誰が見ても《明らかに》請求権協定に反するものでなければならない」と指摘。しかし「同判決は、請求権協定に関してあり得るいくつかの解釈の可能性の一つをとって判決しただけなので、客観的に《明らかに》請求権協定に反するものとは見えない。安倍元首相が言うように《ありえない》請求権協定の解釈を根拠とした判決ではない」と述べている。

パク教授は、「概して、日本政府が言う《請求権協定違反》または《国際法違反》とは、韓国最高裁判所の判決が請求権協定と衝突するという意味で理解することが妥当だろう」としつつ、「強制徴用関連最高裁判所の判決に関して韓日両国間に国際法上紛争が存在するためには、日本が特定の請求(claim、または要求)を提起し、韓国がそれを拒否しなければならない」とし、「紛争が発生するには、特定の請求に対する《特定の異議(objection)》が提起されなければならないからだ。明確な要求とそれに対する拒否がない状態の攻撃は《紛争》を発生させない」と説明した。

続けて、「紛争の存在を前提に日本が請求権協定上の仲裁委員会構成を要求した場合、当然韓国に対して明確な法的請求を提示したと考えられる」とし、「日本政府のそのような法的請求を確認すれば、韓国最高裁判所の判決に対する日本政府の法的主張が具体的に何を意味するのかも確認できるだろう」と伝えた。

参考記事:韓国紙「徴用工・慰安婦問題で韓国司法は揺れすぎ」「国際的な信頼毀損、日本に手足を縛られる」

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