ワークスカー2台に予期せぬトラブル。BMW M4 GT3にとってデイトナ24時間は厳しい戦いに

 BMW M4 GT3の北米デビュー戦となったIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦デイトナ24時間レースが1月29~30日、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催され、BMW MチームRLLから同レースに出場した2台のマシンはGTDプロクラス7位と9位で緒戦を終えた。

 例年1月末の週末にアメリカ、フロリダ州のデイトナビーチで開催される伝統の耐久レースに挑んだBMW Mモータースポーツ・チームと、新型GT3モデルの『M4 GT3』だったが、彼らにとって北米スポーツカー選手権のオープニングイベントは試練に満ちた厳しい“テストレース”となった。

 BMW Mモータースポーツが開発した新型GT3車両は今回、この2022年から新設されたGTDプロクラスに参戦するBMW MチームRLLから2台、プロ・アマカテゴリーであるGTDクラスはターナー・モータースポーツから1台の計3台がエントリーした。

 しかしジョン・エドワーズとコナー・デ・フィリッピ、アウグスト・ファーフス、イェッセ・クローンがドライブしたプロクラスの25号車と、フィリップ・エング、シェルドン・ファン・デル・リンデ、マルコ・ウィットマン、ニック・イェロリーがステアリングをシェアした僚友24号車は、ともにレースの早い段階でトラブルを抱えガレージでの修復作業を余儀なくされる。
 
 このトラブルの原因はアンダーボディにありBMW MチームRLLのメカニックたちはリヤディフューザーを何度も修理する必要があった。このため2台のGTDプロマシンは序盤の段階で勝負権を失ってしまった。

 一方、有力カスタマーチームのひとつであるターナー・モータースポーツは、GTDクラスで印象的な活躍をみせた。彼らが走らせる96号車BMWは最終的にはリタイアを余儀なくされるもスタートから順調にレースを進め、夜間のアクシデントに見舞われるまでクラストップ5圏内を走行していた。

 96号車がリタイア、25号車は698周を走りGTDプロクラス7位、24号車が同9位に終わったリザルトに対し、「それは厳しいレースだった」と語るのは、BMW Mモータースポーツの責任者であるマイク・クラック。

「ミスを最小限に抑え、可能であればすべてのBMW M4 GT3がインシデントなくレースを終えられるようにしたかった。だが、残念ながらそれは叶わなかった」

「ターナー・モータースポーツのGTDカーは接触による損傷でレースを終えることができず。またBMW MチームRLLの2台もトラブルに見舞われ、GTDプロクラス7位と9位でレースを終えることになった」

「開発フェーズではテストを通じて多くの走行を行ってきたが、レースコンディションの下では追加の課題をもたらすことが示された」

BMW MチームRLLの24号車、25号車BMW M4 GT3
マルコ・ウィットマン(左)と言葉を交わすマイク・クラック(右)

■「少々驚いている」とボビー・レイホール

「我々はレースのどの時点でもリーダーのペースについていけなかったため、信頼性、操作性、パフォーマンスを向上させるために一丸となって取り組んでいかなければならない」とクラックは語った。

「第2戦セブリング12時間レースでふたたび前戦に返り咲くために、これからすべてのデータを分析することになる」

「新しいGTDプロクラスの緒戦で優勝したパフ・モータースポーツ(9号車ポルシェ911 GT3 R)を祝福したいと思う。今日は私にとってBMW Mモータースポーツでの最後のレースだった。できれば最高の結果で別れを告げたかったが、過去数年間の信頼できる協力関係について、すべての同僚やチーム、ドライバーに感謝したいと思う」

 BMW MチームRLLのボビー・レイホール代表は、「我々にとって長い1日だった」と2022年シーズンの開幕戦を振りかえった。

「(デイトナ24時間は)チームにとって新車での最初のレースだった。それ以前には、2021年12月にデイトナで短いテストを行っただけだったが、そのときには問題がなかったためロレックス24でスピードを発揮できなかったことに少々驚いている」

「チーム、ドライバー、BMW Mモータースポーツ、そして過去36時間の間、決して諦めずにマシンの能力を最大限に引き出そうとしたすべての人たちに心から感謝している。いま我々は、セブリングで上位に食い込むためにやらなければならない非常に長いリストを持っている」

 北米での初陣では思うような結果を残せなかったBMW M4 GT3。今回新車を走らせた2チームは3月16~19日、セブリング・インターナショナル・レースウェイで開催される次戦セブリング12時間でふたたびニューマシンを走らせるが、同ラウンドでは開幕戦を欠場したポール・ミラー・レーシングがGTDクラスふたつめのBMWカスタマーチームとしてフィールドに加わる予定だ。

25号車BMW M4 GT3(BMW MチームRLL) 2022デイトナ24時間レース
ターナー・モータースポーツの96号車BMW M4 GT3
ポール・ミラー・レーシングが2022年シーズンのIMSA GTDクラスに投入するBMW M4 GT3

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