チームを率いる指揮官は経験や感性で瞬時に決断を下し、勝利のために采配を振るう。バスケットボール男子のBリーグ1部(B1)で悲願の頂点を目指す川崎の佐藤賢次(42)と、ともに下位からの巻き返しを期す横浜BCの青木勇人(48)、プロ野球・横浜DeNAの三浦大輔(48)の3監督が、現場の苦労話を交えながら指導論を語り合った。(構成・小林 剛)
◆今日こそ勝つんだと
三浦 外国人の入国が遅れた昨シーズンは、苦しいスタートになることを予想していました。なかなかリズムに乗れず、1勝するまでに時間がかなり掛かった。今日こそ勝つんだ、ということにとらわれて視野が狭くなり、周囲が見えていなかった。毎日球場に来て、次こそはと思いながらも何かがうまくいかない。あっという間のシーズンでした。
青木 勝ち負けが一番分かりやすいので、どうやって勝つかばかりに特化してしまう。成長段階のチームでは、何ができるようになったかというところに目を向ける。ちょっとでも成功したこと、チームとして良くなっていることを増やしていけば、勝ちにつながると気持ちを入れ替えるようにしている。12月は9連敗もした。自分が落ちても仕方がない。チームの成長に目を向けて、ポジティブなエナジーを少しずつ積み上げて、種をまいていく。それが長いシーズンの過ごし方だと思っている。
佐藤 コーチ1年目の時代に本当に勝てなくて、何を頑張ればいいか分からなくなった。目指すものがないと、チームはバラバラだし力が出ない。その経験から最後の目標だけではモチベーションが持たないので、長いシーズンを区切って、鍵となる試合を決めている。短期目標を決め、それをクリアしたら次に向かう。試合ごとの目標も同じ。何ができて、できなかったか。戻る場所をつくることで、選手が向かう先を一本にするように気を付けていますね。
三浦 優勝を目指すのはもちろんですが、月目標や週目標を具体的に立てること。非常に新しい視点でいいなと思って聞いてました。
◆違う道歩き気分転換
―3人はオンとオフをどのように切り替えていますか。
青木 オフシーズンはサーフィンに行くんですが、今は気分転換に知らない道を歩くことですかね。いつもと違う道を歩いて切り替えるようにしています。
佐藤 切り替えが下手なんですよ。負けた試合後に家へ帰ると、妻に「負のオーラが出まくっている」と怒られるんですけど。一番は犬と遊ぶことですかね。ビション・フリーゼという真っ白くて、丸っこいアフロ犬でかわいいんですよ。癒やされます。
三浦 現役の頃からそうでしたけど、汗をかいていますね。ランニング、ウオーキング、遠征先で午前中にホテルの周りをゆっくり歩いたりして気分転換していますね。