原爆遺跡「旧城山校舎」耐震工事へ 長崎市、2024年度にも

耐震診断の結果、対策工事が必要と判断された旧城山国民学校校舎=長崎市城山町

 長崎市は2日、国指定史跡「長崎原爆遺跡」の一つ、旧城山国民学校校舎(同市城山町)について、耐震診断の結果、対策工事が必要と判断したことを明らかにした。新年度に具体的な活用を見据えた整備基本設計に着手し、2024年度にも耐震・保存修理工事を始めたい考え。
 同日、市内で開かれた長崎原爆遺跡保存・整備委員会(委員長・下川達彌活水女子大学術研究所特別教授)で報告した。
 旧城山国民学校校舎は鉄筋コンクリート3階建てで、1937年に完成。一部は戦後に増築されている。階段棟部分が現存し、平和祈念館として公開しているが、3階以上は安全上の問題で一般公開していない。
 耐震診断は本年度初めて実施。コンクリート強度や構造などに関する指標値を1~3階でいずれも満たしていなかった。市は「大きな地震で倒壊する可能性がある」として、国への現状変更の許可申請などを経て耐震補強を図る方針。
 委員会では、昨年12月の文化庁調査官による視察で、3階以上の公開について「何を見せたいか、何を経験してもらいたいか検討する必要がある」と指摘があったことも報告。今後、活用方法や整備の在り方を検討した上で、整備基本設計を進めることを確認した。
 委員会は文化財や土木工学などの専門家で構成。次回は新年度に開き、現地視察を予定。


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