長崎大・河野学長 衆院予算委で意見陳述 コロナ対策、医療/教育/研究の視点から

参考人質疑で意見を述べる河野学長=衆院

 長崎大の河野茂学長は4日、衆院予算委員会の参考人質疑に出席し、学術的な立場から医療、教育、研究の三つの視点を絡めて意見陳述した。河野学長は「オミクロンは症状が軽いから大丈夫というのは間違い。長崎県内でも高齢者や介護・福祉施設のクラスターで病床は逼迫(ひっぱく)している」と述べ、すべての病院で診療できる医療体制の整備などを訴えた。
 参考人には公明党の秋野公造参院議員が推薦。河野学長は医療の視点で「パンデミック(世界的大流行)を含め感染症の迅速な情報収集、解析は国防の要だ」と指摘。全国の疫学情報を管理する組織の新設をはじめ、産学官が協働できる体制の構築、保健所機能を抜本的に見直して拡充する必要性を提言した。
 教育分野については「もっと人に投資をしていくべき」と強調。幼少期から感染症の基本教育を行うことや、感染症の診療・対策に強い専門医を育成する仕組みをつくるよう要望した。主要な病院に専門医を育成するための恒常的な組織を設置することも訴えた。
 研究では、平時の際から先端的基礎生命科学と臨床研究を推進しながら、パンデミックに瞬時に対応できる体制を構築しておくべきと指摘。国に対し、研究費の継続的で安定的な支援を求めた。


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