ヨネックス株式会社が2022年3月期第3四半期決算(連結)、中国販売子会社の業績が大きく伸長したことにより売上高・利益は第3四半期として過去最高値

ヨネックス株式会社新潟工場

ヨネックス株式会社(東京都文京区)は8日、2022年3月期第3四半期決算(連結)を発表した。売上高は539億7,500万円(前年同期比51.1%の増)で、営業利益は59億7,800万円(同4874.7%の増)、経常利益62億2,300万円(同832.0%の増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は50億8,100万円(同1652.7%の増)と増収増益になった。

当第3四半期連結会計年度における同社グループの業績は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた前年に比べ、すべてのセグメントで増収増益となった。主に、バドミントン用品の販売が好調に推移している中国販売子会社の業績が大きく伸長したことにより、売上高、利益ともに第3四半期としては過去最高値を計上した。

なお、同社現地法人(中国、台湾、北米、ドイツ、イギリス子会社およびインド製造子会社)は2021年1月から9月の業績を連結対象としており、2021年9月30日現在の財務諸表を使用している。また、会計方針の変更として、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)などを第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、このため、前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いている。

セグメントの業績は、下記の通り。

スポーツ用品事業

日本
国内は7月中旬から9月末にかけて発令された4度目の緊急事態宣言に伴う各種大会の中止・延期の影響により、第3四半期も用品需要の回復遅れが継続していたが、感染対策を講じながら各種目で小規模大会や、テニス・ソフトテニス・バドミントン・ゴルフの4種目合同イベント「ヨネックススポーツチャレンジ」を実施した。

影響も一部あったものの、第1四半期での販売回復の効果が大きいこともあり、前年に比べ増収となった。

海外代理店向けの売上については、地域によって感染状況や活動制限に差はあるものの、国際大会の開催により市場が盛り上がったことや、オンラインを中心とした積極的な情報発信、継続的な小規模大会の実施などで需要喚起に取り組んだことから、全体では増収となった。

利益面については、増収による売上総利益の増加に加え、工場の稼働回復および向上により売上総利益率が大きく改善し、前年と比べ大幅な増益となった。

この結果、売上高は273億700万円(前年同四半期比37.1%増)、営業利益は14億9,500万円(前年同四半期は13億7,600万円の営業損失)となった。

アジア
同社中国販売子会社では、7月以降国際大会におけるバドミントン中国代表チームの活躍による市場の盛り上がりやスポーツ需要の高まりを活かし、SNSの情報発信や販売キャンペーンを実施。またレジェンド選手を活用したイベントや、ジュニア・レディース大会などを開催することで各種選手層に競技の場を提供し、さらなる市場活性化に注力したという。加えて、オンライン旗艦店では新製品の発売に伴うSNS等の配信強化や、積極的なライブコマースにより訪問者数の増大に努めるなど、新規当社ファンの獲得に傾注した。

以上のことから、新製品を含むバドミントンラケットをはじめ主力のバドミントン用品を中心に販売が好調に推移し、大幅増収となった。

台湾子会社では、5月中旬から一部地域で新型コロナウイルス感染症の警戒レベルが上がったことにより屋内競技施設の制限や大会などの中止や延期があったが、7月下旬以降は段階的に規制が緩和されたことで回復傾向となった。国際大会における契約選手の活躍の効果もあり、バドミントンラケットの売上が伸長し、累計で増収となった。

利益面については、主に中国販売子会社の増収およびセールスミックスによる売上総利益率の向上に伴う売上総利益の増加が、広告宣伝費をはじめとする販管費の増加を上回ったことにより、大幅な増益となった。

この結果、売上高は221億7,700万円(前年同四半期比77.6%増)、営業利益は41億1,600万円(同176.6%増)となった。

北米
北米販売子会社では、4月以降、新型コロナウイルス感染症の影響による屋内競技施設の閉鎖や規制が徐々に緩和され、7月以降はクラブなどでの競技が再開となり、バドミントン用品は回復基調となった。好調が継続しているテニス用品は、同社製品の性能訴求や試打機会の創出を目的とした継続的なイベントなどの販促活動が奏功し、テニスラケットを中心に販売が大きく伸長し、大幅増収となったという。

利益面については、営業活動強化に伴い人件費などの販管費が増加したものの、増収に伴う売上総利益の増加により、大幅増益となった。

この結果、売上高は24億4,400万円(前年同四半期比61.7%増)、営業利益は3億5,500万円(同309.2%増)となった。

ヨーロッパ
ドイツ販売子会社では、バドミントン用品は屋内競技施設の規制の緩和に伴い競技が再開され、徐々に需要が回復傾向となった。好調が継続しているテニス用品は、ラケットを中心に販売が伸長したことにより、引き続き業績を牽引し、累計で増収となった。

イギリス販売子会社では、テニス用品は販売が好調となり、バドミントン用品は7月中旬の規制緩和以降、試打会・小規模大会などの開催や、SNSなどの情報発信により活動の再開を促進したことで需要が回復し、前年に比べ増収となった。

利益面については、売上総利益が増加し、各種大会の中止などにより広告宣伝費などが減少したことにより、増益となった。

この結果、売上高は16億3,800万円(前年同四半期比13.9%増)、営業利益は6,600万円(前年同四半期は3,300万円の営業損失)となった。

これらの結果、各地域セグメントを合計したスポーツ用品事業の売上高は535億6,700万円(前年同四半期比51.5%増)、営業利益は60億3,400万円(前年同四半期比3555.1%増)となった。

スポーツ施設事業

スポーツ施設事業の中核をなすヨネックスカントリークラブでは、10月から11月にかけては天候にも恵まれ、各種大会やコンペなどを開催、SNSなどの情報発信も積極的に行い集客に取り組んだ。12月には積雪によるクローズもあったものの、累計入場者は前年を上回った。

この結果、スポーツ施設事業の売上高は4億700万円(前年同四半期比11.7%増)、営業利益は7,300万円(前年同四半期比360.0%増)となった。

特別利益の計上と業績予想の修正

またヨネックスは同日、2022年3月期第3四半期連結会計期間において、特別利益(負ののれん発生益)を計上することとなったことを発表。また、2021年11月9日に公表した2022年3月期連結業績予想を修正した。

同社は、2021年12月22日付でBRIDGESTONE TECNIFIBRE CO., LTD.(同日YONEX TECNIFIBRE CO., LTD.へ商号変更)の86.8%株式を取得し連結子会社とした。これに伴い、2022年3月期第3四半期連結会計期間において、負ののれん発生益3億4,300万円を特別利益として計上した。なお、当該金額は暫定的に算定された金額。

業績予想については、売上高を745億円(前回発表予想から4.9%増)、営業利益を65億円(同18.2%増)、経常利益を68億円(同21.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益を56億円(同30.2%の増)に修正した。

今回の修正についてヨネックスは、中国において業績が想定を上回り好調に推移したこと、また、日本国内については、市場回復が遅れている状況は継続しているものの、慎重な見通しとしていた予想値に対しては上回って推移していることから、売上高は前回発表予想を上回る見込みであるという。

また第4四半期は、次期も見据えた積極的なマーケティング投資を行うことにより、販管費は増加の計画としているが、売上増に伴う売上総利益の増加、上記に記載のとおり特別利益として負ののれん発生益を計上することにより、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はそれぞれ前回発表の業績予想を上回る見通しとしている。

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