新体制で経営強化へ V長崎、ヴェルカ 両クラブ会長に髙田氏、社長は岩下氏

会見後に写真に納まる(左から)由井氏、髙田氏、岩下氏、伊藤氏=ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート

 サッカーJ2のV・ファーレン長崎とバスケットボールB3の長崎ヴェルカを傘下に持つジャパネットホールディングス(佐世保市)は8日、長崎市内で組織改編の記者会見を開いた。両クラブの代表取締役を現行の各1人から3人ずつに増やし、会長をジャパネットグループ最高経営責任者(CEO)の髙田旭人氏(42)、社長を現ヴェルカ社長の岩下英樹氏(40)が兼任。スポーツ事業を一元化して収支改善を図る。3月1日付。
 国内のプロスポーツビジネスで収益を得ている事例はほとんどない。ジャパネットグループの2021年12月期売上高は約2500億円と過去最高を更新し、本業の通販事業で経営基盤は安定しているが、V長崎とヴェルカに限っては単体赤字となっている。これまで社内の重要事業を軌道に乗せた実績がある岩下氏を両方のトップに置き、さらに髙田氏の会長就任で責任を明確化する。
 ジャパネット社が24年に開業予定の「長崎スタジアムシティ」は、総事業費700億円とされる重大事業。その中で二つのプロクラブは「主人公」(岩下氏)と位置付けられ、開業までにチーム力強化も同時進行で進める。髙田氏はJ1昇格、B2昇格を果たせば「収支は限りなく黒字に近づく」としている。

ジャパネットホールディングスの事業内容

 スポーツ事業関連では新会社「V・スポーツパートナーズ長崎」を設立し、バスケットボール会場で好評のチアリーディング事業を強化。新たにサッカー単独のチアチームをつくる。
 このほか、V長崎は取締役の由井昌秋氏(74)が代表取締役ホームタウン担当役員となり、ヴェルカはゼネラルマネジャー兼監督の伊藤拓摩氏(39)が新たに代表取締役を兼ねることになった。

◎社長兼任「心配していない」 ファンの質問に髙田氏

 会見ではファンから事前に質問を募り、髙田旭人氏が答える時間が約1時間にわたって設けられた。主な質問と回答は次の通り。

 -責任者選定や社長兼任の考え方を知りたい。社外からの人材登用も考えた方がいいのでは。
 スポーツは熱狂的なものだが、結果が出ないとすぐに責任を取れと(批判されて)経営陣が入れ替わる今の流れは問題だと思っている。一方、オーナーが強大な権限を持ちすぎて好き放題になるのも駄目。それがないようにするのが私の役目。社長兼任は大変じゃないかと思われるかもしれないが、まったく心配していない。どっちの試合に行くのかという問題はあるが、頭の中は基本的に同じ方向を向ける。
 外部人材の登用は正直難しさを感じている。今いる由井(昌秋氏)、伊藤(拓摩氏)などバランスの取れた人とは一緒にやりたいが、これまでの多くが従来の文化ありきで考え方が合わないのも事実。

 -V長崎にゼネラルマネジャー(GM)は置かないのか。
 (ヴェルカの)伊藤(GM兼監督)みたいな人材がいればお願いするが、GMの設置がうまくいっているサッカークラブは比較的少ない。予算管理の全権限を持つのがGM。形式的に置くのは良くない。強化の進め方は、一番は松田監督の意向。そこに強化部の視点を加えていく。

 -頓挫しているV長崎の練習場とクラブハウスの設置計画について。
 重要だと捉えている。約3年前の諫早市、大村市との交渉は形にならなかった。これからは諫早市と話を詰めていく。これだけの価値があると市民に感じてもらえる努力を重ねていって、もっと練習場を強化しようと言っていただいたときに、じゃあジャパネットもここは頑張りますというような着地点を見つけられるように進めたい。

 -ヴェルカの伊藤GM兼監督の代表取締役抜てきについて。
 おそらく今後新たにヘッドコーチ(監督)を連れてくるタイミングがある。彼自身の可能性を広げるために経営的な視点を持ってほしい。これほどの人材。普通なら経験できないことにチャレンジしてほしい。


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