東京・葛飾区が新年度予算案 安全・安心な街の発展に注力

東京・葛飾区は2022年度予算案を発表しました。新型コロナ対策を継続しつつ、さまざまな社会課題も解消していく方針が示されました。

葛飾区が発表した新年度予算案は一般会計で2120億円で、過去最大規模となりました。葛飾区の青木克徳区長は会見で「新型コロナで影響が出ている分野には積極的に取り組んでいきたい。併せて、防災や街づくりはこういう時期であっても着実に積極的に進めていかなければならない」と述べました。新年度予算案では大規模な水害に備えた浸水対応型市街地構想の実現に向けた取り組み強化のほか、人気漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」をテーマにした亀有地域の観光拠点施設の整備も発表されました。

<葛飾区 SDGs推進や「こち亀」観光拠点の整備計画も>

葛飾区は2022年度、過去最大規模の予算案を組みました。喫緊の課題である新型コロナ対策についてはワクチンの3回目接種やさまざまな経済支援などに40億円近い予算を組み、引き続き取り組んでいきます。その一方で、コロナ以外の社会課題の解消にも力を入れます。

まずSDGsの推進です。区が発表した「SDGs先進度調査」(2021年・日本経済新聞社)では、葛飾区は全国815自治体の中で3位となっています。すでにペットボトルの「水平リサイクル」の取り組みなど先進的な取り組みを始めている葛飾区は1月にSDGs推進の専門部署を新設し、さらに取り組みを加速させています。他にも脱炭素化の取り組みとして再生可能エネルギー100%電力への切り替えや、シェアサイクル事業の社会実験、電気自動車の充電設備への助成などを行います。

また、学校が抱える2つの課題についても積極的に改善に取り組みます。1つ目が「食材の高騰によって給食がピンチになっている」点です。今までの給食費で子どもたちに必要な栄養量を確保できるのか、あるいは新たな保護者の負担が発生しないのかという懸念が出ています。そして2つ目が「真夏の水泳授業」についてです。猛暑による熱中症リスクの増加や梅雨の時期と重なり、予定通りの授業が消化できない問題が挙げられています。まず、給食費については現在の給食費の公費補助の額を現状から1億円増額し、保護者の負担となる「給食費」は据え置きます。また水泳の授業については東京23区で初めて、全ての区立小学校において学校外の屋内温水プールを活用した授業を実施していきます。区立のスポーツセンターだけでなく民間のプールも活用することで、天候に影響を受けることなく、さらには複数のインストラクターが指導の補助に加わることで子どもたちの泳力に合わせた指導ができるようになります。新年度から段階的に移行していく計画です。

続いて、コロナの収束後を見据えた観光事業です。葛飾区はご当地キャラクターが豊富です。まず、亀有駅近くに「こち亀」をテーマにした観光拠点施設の整備が始まります。オープンは2年後の予定で、原作者の秋本治さんとも相談しながら展示物の詳細を詰めている段階です。もう一つは新小岩駅前に銅像が完成した「モンチッチ」です。葛飾区はモンチッチに会える街を全国にアピールし、区内にあるモンチッチの入った時計塔やデザインマンホールの場所を示した「モンチッチ観光マップ」を作成する予定です。葛飾区には他にも「寅さん」や「キャプテン翼」もあり、ご当地キャラクターには事欠きません。

新型コロナ対策はもちろんのこと、それ以外の重要分野や"コロナ後”を見据えた街づくりにも注視していく必要があり、葛飾区の取り組みが注目されます。

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