景気「持ち直し鈍化」 9カ月ぶり引き下げ 1~2月 日銀長崎支店

 日銀長崎支店は10日、1~2月の長崎県内金融経済概況を発表した。景気全体について「新型コロナウイルス感染症の影響から、持ち直しのペースが鈍化している」と判断を引き下げた。下方修正は9カ月ぶり。オミクロン株の感染急拡大で、観光とサービス消費の落ち込みが大きかった。
 観光は「急速に悪化している」と2カ月連続で判断を引き下げ。特に1月中旬以降、修学旅行の見合わせや宿泊割引キャンペーン停止に伴うキャンセルが響いた。個人消費は9カ月ぶりに下方修正。まん延防止等重点措置の適用で時短営業を求められている飲食など対面サービスで下押し圧力が強まっている。
 鴛海健起(おしうみたけゆき)支店長は「需要の蒸発に近い厳しい状況に直面している事業者も少なくない。特に観光関連の依存度が高い長崎県は、他の地域よりこの影響が強めに出ている」と述べた。
 一方、公共投資は高水準で推移。将来を見据えた企業の設備投資も増加、電子部品を中心とした生産も増加基調にあるとして「前向きな要素は引き続き途切れず続いている」とした。雇用・所得は、労働需給に改善の動きがあるが、雇用者所得は弱い動き。
 今後の見通しについて、鴛海支店長は「感染動向が落ち着けば、旅行、外食の需要が早いペースで持ち直していくことも期待できる」と分析。ただ、注視すべき点として▽感染拡大の長期化▽原材料コストの上昇と半導体などの供給制約に伴う企業収益の悪化▽原材料価格の高騰が転嫁されて物価上昇が進んだ場合の消費マインド抑制-を挙げた。


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