「まん延防止」効果検証 長崎県、感染数緩やかに減少 病床使用率の増加止まず

県内新規感染者数と病床使用率

 長崎県は8日、13日に期限を迎える新型コロナウイルス対応の「まん延防止等重点措置」の適用期間延長を国に要請した。1月21日の適用から3週間弱。新規感染者数は「減少の兆し」(中村法道知事)も見られるが、依然高止まりの状態。病床使用率は増加傾向が続く。各指標から、重点措置の効果を分析した。

 ■新規感染者数

 1月13日に160人の感染を確認。昨年8月19日の114人を上回り、約5カ月ぶりに過去最多を更新した。その後も1日の新規感染者数は急速に増加。重点措置適用前の1週間(1月14~20日)は1日平均270人だったが、長崎、佐世保両市に適用後の1週間(21~27日)は1日平均520人、次の1週間(28日~2月3日)は567人とほぼ倍増した。ただ、3日からは6日連続で前週の同じ曜日を下回り、1~7日は前週比0.94倍にとどまった。

 ■病床使用率

 県が確保する「緊急時病床数」は561床。各日の埋まり具合を病床使用率としている。1月21日時点で24.8%だった使用率は上昇傾向が続き、2月7日時点で42.4%。中でも佐世保・県北医療圏は1月30日に5割を超え、2月7日時点で60.4%に達している。高齢者の占める割合が高く、新型コロナ以外の一般診療にも影響が出ている。

 ■年代と経路

 重点措置適用前(1月3~20日)と適用後(21日~2月7日)の18日間について、新規感染者数を年代別と感染経路別で比較すると、年代別では10歳未満が7.2倍、10代が4.4倍、60代以上は5.3倍にそれぞれ増加し“二極化”。家庭を中心に保育施設や学校、高齢者福祉施設へと拡大している傾向がうかがえる。一方、適用前まで最多だった20代は2倍で最も鈍化した。
 感染経路は適用前229人だった飲食が0.4倍の93人に減少。一方で、高齢者福祉施設が9.1倍、家庭内が6.7倍、児童福祉施設は5倍になった。クラスター(感染者集団)の発生状況を見ると、適用後、児童福祉施設が31件で最多。飲食店は3件だった。

 ■人流

 長崎、佐世保両市の商店街や繁華街の人流は適用前の1週間に比べ、昼夜を問わず減少傾向。県によると繁華街では週末の夜間は3~5割減っているという。

 ■みなし陽性

 感染者数の急拡大で保健所業務がパンクするのを防ぐため、県などはこの間、検査を省略して「疑似症(みなし陽性)」とみなす運用に切り替えた。感染者の同居家族の濃厚接触者に症状が出た場合、医師の判断で陽性とするケースが出ている。長崎市は1月31日から公表しており、2月7日までの新規感染者1448人の14%に当たる202人がみなし陽性だった。


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