第28回「マーラーズ・パーラー」〜療養中のPANTAが回顧する青春備忘録〜

ソロ・アルバム『PANTAX'S WORLD』に収録された「マーラーズ・パーラー」。日頃から頭脳警察、そして自分をブラックマークしているレコ倫(レコード倫理規定委員会)から挨拶しなければいけないとでも思っているのか、しっかりクレームがついた。 他のアーティストから、「レコードを出すときはPANTAと一緒に出せば審査が甘くなるから」という声まで聞こえてきたレコ倫との因縁のお付き合い。今までもよく言ってきたことだが、「ブル新」(ブルジョア新聞)という歌詞について、これは共産党左翼用語であると文句を言ってきたのだ。そこでビクターの白井伸幸氏の機転で、「いや、これはブルーバードの新車のことです」と切り返し、委員会に有無を言わせなかったと聞いて喝采を送ったのだが、あろうことか次の「これは〇〇ガイの書いた歌だ」という発言を聞き、これにはキレてしまった。 仮にも倫理規定委員会のメンバーともあろうものが〇〇ガイの書いた歌は認めないという発言。百歩譲って、先の「ブル新」にしても、なぜ共産党用語ではいけないのか。そして〇〇ガイは歌も作ってはいけないのかと、ビートたけしさんや、裕也さんではないが、これには頭から火が噴き出るほど怒りまくった。本気で殴り込もうかと思っていたところ、必死の思いで止めてくれたビクターのスタッフに今でも感謝している。歴史に「もし」はないのだが、傷害罪等でみんなに迷惑をかけなくて本当に良かったと思っている2021年の大晦日だった。

© 有限会社ルーフトップ