「災害対策」 対応の必要性、9割が認識 策定支援求める中小事業者も

災害対策

 長崎新聞社と十八親和銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)が実施した県内主要企業・団体トップアンケートで、近年、県内で相次ぐ大雨や台風による自然災害への対策を聞いた。「対策を立てている」が最多の47社、「検討中」38社と続き、回答した約9割が対応の必要性を認識していることが分かった。一方、対策策定への支援を求める中小事業者もおり、支援の有無が今後の鍵を握りそうだ。
 アンケートでは、事業継続計画(BCP)などの災害時の対策の有無と、その理由(自由記述)を尋ね、95社が回答した。「対策を立てている」「検討中」のほか、「対策は立てていない」8社、「わからない」2社だった。
 BCPとは、企業が自然災害や大火災などの緊急事態に見舞われた場合、事業資産の損害を最小限にとどめ、中核事業の継続と早期復旧を可能とする目的で、平常時に行う活動や緊急時の事業継続方法などをあらかじめ決めておく。
 「対策を立てている」としたサービス業者は、「安否確認訓練や食料、飲料、トイレなどの必要最低限(3日間分)の備えを実施」、製造・環境エネルギー業者は「工場、事業所ごとにBCPを策定」と回答。東日本大震災などを受け、製造ラインを持つ事業者は、災害対策への意識の高さがうかがえた。
 新型コロナウイルス感染拡大を背景に、BCPに反映させた動きもあり、食品製造業者は「コロナ発生時の対応を含めて、マニュアルを作成」とした。
 一方、「検討中」とした卸売業者は「ほとんど被害に遭っていないので危機感が少ない。しかし対応する必要がある」、食品卸売業者は「対策は必要との認識はあるが、一部の取り組みにとどまり、全体的に網羅できていない」と回答。対策の必要性を認識しながらも、具体的な対策に結び付いていない状況がうかがえた。
 中小企業へのBCP策定支援を指摘する意見もあった。サービス業者は「BCPの取り組み方法の詳細が不明で、作成に至っていない。中小企業は推進するためのサポートを必要としている」とした。県は、県内事業者がBCP策定に取り組みやすいように、「簡易版BCP策定シート」を作成し、活用を呼び掛けている。


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