ポルシェLMDh、バルセロナでの初テストを完了。“保守的なアプローチ”にドライバーは好印象

 2023年のデビューに向けて新型LMDh車両を開発しているポルシェは、スペイン・バルセロナのカタロニア・サーキットで、数日間の開発テストを行った。ポルシェの責任者は、これは「非常に重要なステップ」だったと述べている。合わせて、車両の新たな写真も公開された。

 2023年より『ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ』として、WEC世界耐久選手権ならびにIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦するポルシェ。2022年1月にはドイツ・バイザッハの自社テストコースで名称未定の新型LMDh車両をシェイクダウンしていたが、最近になってスペイン・バルセロナから、国際的なレーシングコースにおけるトラックテストをスタートさせた。

 ポルシェは、ヘッドライトが装着された状態の写真をSNSで先行して公開していたが、テストを終えさらなる画像も公開された。このテストでのLMDh車両の走行距離は2000kmを超え、また同時にLMGTE車両であるポルシェ911 RSR-19、さらには2023年バージョンの新たなGT3車両の走行も行われたという。

 バルセロナでは、新たにポルシェのワークスドライバーとなったデイン・キャメロン、フェリペ・ナッセもLMDh車両のステアリングを握った。

「バルセロナでのテストにおける成功は、非常に重要なステップだった」とポルシェ・モータースポーツを率いるトーマス・ローデンバッハは述べている。

「バイザッハでのシェイクダウンでは、LMDhプロトタイプの基本的な部分が機能することを確認するのが重要だった」

「スペインにおいては、耐久走行、セットアップ作業、そしてとても重要な、プロジェクトに関与するすべてのパートナーの相互作用を最適化することなど、開発のすべての範囲を確かめることができた」

「ポルシェ、ペンスキー、ミシュラン、マルチマチックなどのスタッフが、素早くひとつのユニットとなっていく様はとても印象的だった。全員に感謝したい」

バイザッハ以外では初となるテストをバルセロナで行ったポルシェLMDh車両

 サプライ・チェーンの遅延により、ウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングのバッテリー・ストレージシステムなしでシェイクダウンすることを余儀なくされた1月とは異なり、今回のテストではハイブリッドシステムのすべてのコンポーネントが機能する状態だったものと思われる。

 バイザッハでのテスト中にV8ツインターボエンジンの最初の感触を確かめていたキャメロンは、それ以来、車両に加えられた進化に感銘を受けたと語っている。

「バルセロナでの最初のラップまでに行われた進歩は、印象的だ」とキャメロン。

「テスト期間中も、僕らは一貫した進歩を遂げた。毎日、より多くのマイレージを走ることができ、パフォーマンスは著しく向上した」

「もちろん、この開発の初期段階においては、限界に挑戦することはしない。むしろ、僕らの採るアプローチは非常に保守的だ」

「このアプローチに基づいて、僕の印象はとてもポジティブだ。なぜなら、僕らの新しいクルマをさらに改善する可能性が、まだ信じられないほどたくさんあるからだ」

 バルセロナのテストは、ナッセにとって初めてのLMDhドライブとなった。

「クルマは真新しいが、多くの距離を走行することができた」とナッセは述べている。

「それは素晴らしいことであり、過小評価してはいけない。セットアップ作業とタイヤテストをスタートさせることもできた」

「僕のクルマに対する印象はポジティブだし、笑顔でバルセロナを後にできる」

「この最初の走行テストをとても楽しみにしていたんだ。僕はついに、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのチームと力を合わせ、ステアリングを握ってアクセルを踏み込む機会を得た」

「それは僕にとってとても特別な経験であり、将来に起こるすべてのことにワクワクしている」

 ポルシェのLMDh車両は、秋に予定される車両のホモロゲーション、そして来年1月のデイトナ24時間レースでのデビューに向け、今後数週間でヨーロッパと北米の両極におけるテスト機会が増加するものと予想される。

2022年よりポルシェのワークスドライバーとなったデイン・キャメロン
2022年よりポルシェのワークスドライバーとなったフェリペ・ナッセ

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