国内初「水素で走る電車」導入へ JR南武線などで走行試験

公開された「HYBARI」。燃料電池の科学反応で発生する水をイメージし、青いデザインとなった=川崎市中原区上小田中5丁目の鎌倉車両センター中原支所

 JR東日本は18日、水素を燃料とする燃料電池と蓄電池で走るハイブリッド電車「HYBARI(ひばり)」を川崎市中原区の鎌倉車両センター中原支所で公開した。

 走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しない仕組みで、3月下旬から南武線(川崎─登戸間)などで走行試験を行い、車両性能や水素の消費量などを検証する。脱炭素社会実現を目指し、国内初の営業運転へ、2030年の実用化を目指す。

 HYBARIはJR東日本と日立製作所、トヨタ自動車が連携開発した試験車両で、この日、2両編成で公開された。

 2号車の屋根に水素タンクを搭載し、床下の燃料電池装置を動かすと水素と空気中の酸素が化学反応を起こして電力を発生させる。同装置はトヨタの燃料電池車「MIRAI(ミライ)」の技術を基にしたもので、水素1回の充填(じゅうてん)で約140キロ走ることができる。

 外観は水素による発電で生成される水をイメージした青色とし、車内のシートなどは山並みをイメージした緑色や青で彩り、自然を感じる内装にした。開発費は、約40億円。実用化すればディーゼル車が走る地方路線を中心に採用し、脱炭素化を進める方針だ。

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